風花とミルクティー 2 (ページ24)

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want to protect ページ24

side:深澤

桃園ちょっと良いか、とAがスタッフさんに呼ばれた。
はい、と返事をして部屋を出てから、もう随分と経つ。
そろそろ休憩も終わりになるから呼びに行くか、と席を立てば心配そうな顔の照と目が合った。
佐久間と阿部ちゃん、康二もパッと俺を見たから、同じことを考えていたんだろう。

深「ちょっと呼びに行ってくるわ。」

岩「俺も行く？」

深「うーん、あんま遅いようなら来て(笑)」

岩「わかった。」

Aがこうして呼ばれるのは、今に始まったことじゃない。
高校時代からスタッフとしても動いていたから、その経験は他のスタッフさんより長いこともある。
そんなわけでグループに加入してからも、何故か未だに打ち合わせとかに呼ばれていることがあって。
引き継ぎの件とかでちょっと、とA本人は言っていたけれど、事務所内でもAのことを全員が認めているわけではない現状、ある意味良いように使われているんじゃないかと俺たちは疑ってもいる。
表立っては言えないからこそ、裏方としての仕事も組み込もうとしている人たちもいるのではないか、と。
だけど、どうやら実際に仕事の面でも有能だったらしいAは、申し訳なさそうにスタッフさんが仕事を聞きに来ることもあるから、そこの見極めが難しくて。
結局、拘束時間の長さで量るくらいしかやりようがなくて、A本人にはきっと嫌な想いをさせてしまっている。

まぁ今日のは、ほぼほぼわざとだな、なんて思いながら探しに行けば、案の定嫌な捕まり方をしているAを見つけた。
話しかけているスタッフの視界には入らないように気を付けながら近付けば、一応ちゃんと仕事の話をしているけれど、難癖をつけられているに等しい内容で。
A自身が絶対に強く言わないことをわかっていてやっているだろうから質が悪い。
Aにだけは見えるように手を上げると、理解したように微かに頷いた。

『……すみません、その件については資料を作っておくので、一旦戻っても良いでしょうか。そろそろ時間なので。』

〈この間もそう言ってちゃんと出来てなかったと思うけど？〉

『お渡ししましたよね？』

〈あれじゃあ何も知らない人に伝わらないでしょ。〉

『……引き継ぎは新人さんではなかったはずですよね？』

〈新人にも使えるように作っとくのが普通だから。〉

『……それは、申し訳ありませんでした。作り直します。』

〈それじゃ、間に合わないんだよ！〉