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椅子から立ち上がった時、ふわっと視線が揺らぐ。いや、ただの立ちくらみ。もう公演始まるし、行かなきゃ＿＿
お客さん達の顔が、時々ぼやける。激しく動きすぎたから、ちょっと立ちくらみっぽくなっちゃっただけ。
息が上がって、苦しくなって。いやだから、久しぶりの公演だから。
つまづきそうになっちゃって、湧に支えてもらって。たまたまだよ、たまたま。
頭がズキズキし始めて……最近、寒いから。
MCタイムに入り、お客さん達が座るのを見届けた瞬間＿＿膝に力が入らなくなって、意識が手放された。
＊＊＊＊＊＊＊
はっと気がついたら、楽屋のソファに横たわっていた。視界に映るのは、天井と、心配そうに私の顔を覗き込む光輝。
私も光輝も、衣装のまま。光輝の額に光る汗を見て、意識を手放してからそう時間が経っていないことを悟る。
黒田「A！！起きた！？大丈夫！？」
こんなに焦っている彼を見るのは久しぶりだった。苦しそうに顔を歪めるその表情を見ているのが辛くて。ぼやける視界の中で必死に光輝の顔に手を伸ばして、頬に優しく触れる。
白石「大丈夫。私は大丈夫だから……。お願い、そんな顔しないで。せっかくの綺麗な顔なんだから」
黒田「A、急に倒れて……！公演前、深田から体調悪いっぽいって聞いてたのに、俺がとりあえず様子見とこうってほっといたから……！ほんとごめん、ごめん……」
白石「光輝のせいじゃないよ」
体の節々が痛い。体中の感覚がふわふわしているし、きっと高熱が出ているのだろう。こんなに心配かけちゃって、ごめんね。
白石「まだ公演続いてるんでしょ？戻っていいよ」
黒田「大丈夫。もう俺は出れないって伝えてあるから」
白石「そんな……だめだよ、行って」
黒田「俺、Aのことやっぱほっとけないから」
光輝がやっと、表情を緩めてくれた。優しく目を細めて、それでもなお心配そうに微笑んでくれる。前髪をそっと撫でられ、その手は頬に降りてくる。優しく優しく、温かくて大きな手で、頬を包まれて。自然と生まれてくる眠気に、瞼が重くなるのに必死に抗う。
黒田「寝ていいよ。ってか、寝て？」
白石「私が寝たら、舞台戻ってね……」
黒田「いいよ」
白石「心配かけて、迷惑かけて、ごめんね……」
黒田「そんなんお互い様だよ」
現実と夢の間を彷徨う。もう少しで眠りに落ちる＿＿その瞬間、おでこに柔らかい感触と、光輝が何か言った気がした。
黒田「好き」
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「Act ONEで女の子が体調不良になり黒田くんに甘やかされる話」リクエストありがとうございます！
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柊つむぎ(プロフ) - ちぃさん» ご指摘ありがとうございます！大変重要なことを間違えてしまいお恥ずかしい限りです(-_-;)これからも気をつけさせていただきます！！ (2月10日 11時) (
レス) id: 49c4d3a056 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます!! すみません、深田竜生くんのお名前が竜星になっちゃってます… (2月9日 22時) (レス) id: 17246f2d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊つむぎ | 作成日時：2024年2月6日 18時
