天神屋の灯守 三

◆89青行燈の恩人（過去編） ページ16

『結論で言えば、お前さんの思っていることと変わらないだろう』


無気力な思考を知ってか知らずか…青田坊はそう返してきた。

人もあやかしも、お互いに流れる時間が違うだけなのだ、と。

意思を持ち、考え、学び、歩んでゆく命はどれも尊く、根本は変わりようがない。

自分と近しい者同士で集まるのも、己の居場所がほしいからだ。

ただ…。と、そこで一度話が途切れた。


『私には少し、お前さんは落ち着いた場所を求めているように見える』

「！」


瞳も口もない、青くのっぺりとした顔からは何も読み取ることはできない。


『だから、このような場所にいたのだろう？』

「…」


何も、言い返せなかった。

図星だったから。

人に喚ばれるのも、同胞に疎まれるのにも、疲れていた。

どこへ行っても輪に混ざれないのなら、静かな場所にいたい。

認めてくれなんて言わない。

でも、せめて存在してしまったのなら…どこかには居させてほしい。

それを許してくれる場所がほしいと思った。


『私がいるのは土地ばかり広い寂しい寺だが…どうする？』


再び、顔のない顔で尋ねられた。

そのあまりの表情のなさに、どこかほっとした。


気づけば私は、彼の周りの光と共にその後ろをついて行った。

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次回より一度通常編へ戻らせていただきます。
ここからどうして今の天神屋に繋がっていくのかなどはそう遠くないうちに書かせていただきたいと思います。

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