◆未回収:天地下ボイラー室 ※オリジナル名の妖怪出ます ページ16
天地下にある施設の一つには、一部の妖以外が近づかない場所が存在する。
それが、【ボイラー室】。
天神屋の名物となっている温泉だけでなく、ここにいる鬼火達に地下からの霊力をブレることなく均等に供給するための施設である。
したがって、周囲の壁に沿って走っているパイプには超高温のままの源泉が入っているものと、供給用の霊力が入っている二種類とが存在する。
ボイラー室という名の、またの名を【供給室】。
炎系か、ある程度火や高温環境に適応できる体質を持つ者しか近寄れない場所。
この条件の理由は単純明快で、ボイラー室へと繋がるドアが高熱すぎて、耐性のある者しか開けられないからである。
耐性の無い者はまずここで大火傷を負って引き返す。
これが功を奏しているためか、外敵の被害に合ったことは今の今まで一度もない。
そんなボイラー室の扉のバルブを回し、中へと入る。
周囲の壁を何本ものパイプに覆われた廊下は外以上に熱気が充満し、陽炎が常に出ている。
いくつかのパイプから時折飛び出してくる熱煙に注意しながら奥へと進むと、やがて大なり小なり数多のバルブと温度メーターが集う広い部屋に出た。
その隅で、みちみちと小さい体を寄せ合う炎の塊。
雷獣の雷雲にすっかりビビってここまで戻ってきてしまった鬼火達である。
そのうちの一つがこちらを振り返り、私の姿を捉える。
「あ!Aさま〜!」
「「「「!」」」」
鬼火の一つがそう言うと、他はぶるぶると震えていた身体をぴたりと止める。次いで、
「Aさまきたぁ!」
「雷怖かったよぉぉ」
「らいじゅうもういやぁ…」
「今日はもうお仕事やだよぉ」
と、口々に泣き言を漏らして飛びつかんばかりに灯音の周囲へと寄ってきた。
部屋の壁には一箇所とても大きな、人間の身長一人分はある直径をしたパイプが口を開けている。
鬼火たちのための通路だ。明朝の火が落ちる時間になれば、彼らはあそこからこの部屋やボイラー室周辺へと戻ってくる。
今日はまだ火の落ちる時間ではないのだが、本当にビビリな子達ばかりなので雷雨が去ってもいつまでもここに居たらしい。
「全く、お前たちときたら…
そうしてビビってばかりだと、おちおち私が出張できないじゃないかい?」
「「「「だってぇ…」」」」
だってぇ、じゃないだろう…。
◆未回収:天地下ボイラー室2 ※オリジナル名の妖怪出ます→←◆未回収:修理現場
88人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫築かなめ - とても楽しく読ませていただきました、夢主が大旦那様の元婚約者だったというところを詳しく知りたいです (2020年8月10日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
こしあんのお餅 - すごく面白かったです! (2019年6月2日 17時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 夢主さんが大旦那様の元婚約者だったとは・・・!驚きました!私、こういうシリアスな感じの小説すっごく好きなんです!たとえ、作者様が自己満足でも私はとても楽しみにしています。気が向いたらで本当に結構です。大変だと思いますが更新頑張って下さい! (2019年3月7日 23時) (レス) id: 8f1f373125 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そーめん | 作成日時:2018年11月22日 0時