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静々と歩いた廊下の先に、「湯」と書かれた暖簾が見える。
その暖簾の真下には「清掃中につき ご迷惑をおかけいたします」と少々大きめの看板が立てかけられている。
それを潜ってすぐに、濡れ女と河童の二人が真剣に話し合っているのが見えた。
「静奈」
「あぁっ、A様っ！」
呼びかけに振り返った彼女は、自分を見るなり驚きと期待の声を上げる。
よほど困っていると見える。
「どどどどどうしましょうぅぅぅ！！！
停電でお風呂場も脱衣所も真っ暗なんです！！！
これから一番お客様が増える時間なのに…っ」
「あらあらまぁまぁ…とにかく、一度落ち着きなさいな？」
あわあわと状況を説明しながら青ざめている彼女の肩を抑え、言い聞かせる。
静奈も天神屋に来てからかなり立つのだけれど、相変わらずこの臆病な性格が抜けない。
停電の経験が無いわけではないのだけれど…。
「それで、問題なのは照明だけかい？」
「はい…温泉のポンプは直接地下に通した別電源になっておりますので」
質問に応えたのは、男湯を担当する河童の翁。
こちらは静奈よりも長い付き合いなので落ち着いてはいるものの、少し疲れが見える。
「そうだねぇ…」
風呂場の照明に自分の火を灯すだけならば、今まで通りで問題はないのだけれど…
実はここで一つ問題なのが、男湯側である。
厨房とおなじく女人禁制をかなり気にしているのだ。
それを口に出そうとしている今、翁は少々渋い顔をしている。
前回まではやむなしと女将や大旦那の口添えにより通してもらったが、
今回は誰も来ないところを見ると、お客の対応でそれどころではないのだろう。
大旦那のほうは何故来ないかは知らないが、ここで待って時間を浪費するのも勿体ない。
まだ回りたいところはかなりあるのに。
これでも、火が消えたら困る場所を優先して回って来ている。
今回は、早急に私1人でどうにかしないといけない。
お客の満足度を考えれば、そもそも考えるまでもないとは思うのだが…
と。
そこまで考えたところで、自分の手元を見る。
ある妙案が頭を掠めた。
「それなら二人とも、とりあえずできるだけ灯篭を集めておくれよ」
「「灯篭？」」
私の言葉に二人は疑問を浮かべる。
「今日の天神屋は、灯篭風呂にしようじゃないか！」
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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レモン(プロフ) - そーめんさん» これからも楽しみにしてます (2018年12月29日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
そーめん(プロフ) - レモンさん» コメントで教えていただきありがとうございます！全然気づけてなかったので私もビビりました；ありがとうございました！今後もがんばります！ (2018年12月29日 22時) (レス) id: 6f68bed6a4 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - とっても面白いです！ (2018年12月29日 20時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして一話で中井とありますが中居ではないでしょうか？ (2018年12月29日 20時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
そーめん(プロフ) - 碧海さん» コメントありがとうございます！キャラの口調は私も大事にしている点のひとつなので、そう言っていただけてとても嬉しいです！！これからもコツコツがんばります！！ (2018年11月11日 18時) (レス) id: 6f68bed6a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そーめん | 作成日時：2018年10月17日 0時
