◆35 ページ36
・
「何百という月日が流れた今でも、人間の間で私の噂が消えることは無かった。
百話終わったら災いが起きるだの、
鬼女が出るだのと、噂がいつの間にか独り歩きしていてね…」
怪談とは、一種の風物詩。
始める者は数多いても、辞める者などひと握り。
人は皆、見えないものに憧れて、そして怯える。
なんと勝手で、滑稽だろうか。
「"百の怪を語る会"とは、人の生み出したいわば夢の具現なのさ。
あるのかないのか分からないから余計に怖い。
それで生み出される妖がいるのも知らずにね…」
「…」
青行燈。
いて欲しいようで、いて欲しくない。
人が生み出したにも関わらず、人に必要とはされなかった妖。
けれど、人の中から産まれ、語り継がれたがゆえに力をつけた稀有な存在。
それが私だよと締めくくり、再び葵へと目を向ける。
「!?」
そして仰天した。
つ、とその頬に涙を零し、彼女は静かに泣いていたのだ。
当然、私は彼女の前で慌てた。
「ど、どどどうしたんだい?!」
「っごめんなさい、私…
Aさんに…辛いお話をさせたわ…」
「…」
そう言って、まだ人として未熟な彼女は私の目の前でまた涙を零した。
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
101人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レモン(プロフ) - そーめんさん» これからも楽しみにしてます (2018年12月29日 22時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
そーめん(プロフ) - レモンさん» コメントで教えていただきありがとうございます!全然気づけてなかったので私もビビりました;ありがとうございました!今後もがんばります! (2018年12月29日 22時) (レス) id: 6f68bed6a4 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - とっても面白いです! (2018年12月29日 20時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして一話で中井とありますが中居ではないでしょうか? (2018年12月29日 20時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
そーめん(プロフ) - 碧海さん» コメントありがとうございます!キャラの口調は私も大事にしている点のひとつなので、そう言っていただけてとても嬉しいです!!これからもコツコツがんばります!! (2018年11月11日 18時) (レス) id: 6f68bed6a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そーめん | 作成日時:2018年10月17日 0時