どんな君も-短編-

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僕はウニョギからのお誘いと丁重にお断りし、
再びAとの甘い時間を過ごそうと電話を切った


せっかく君と過ごす休日なのにゲームに没頭できるわけもなく


ＫＨ『ふう、トイレ行って飲み物でもとってこよ・・』


意味のない独り言を呟き、

そして飲み物とるついでのようなフリをして
Aにちょっかいかけよう。


そう思い、立ち上がって一度キッチンの方へ視線をやると
さっきまで聞こえていた料理をする音が全く聞こえず
人の気配もない、気が付けば静かな部屋に。


ＫＨ『あれ・・、Aこそトイレかな・・』


じゃあトレイの前で待ち伏せして脅かそうかな、
なんて母親に構ってほしい子どもが思いつくようなことを考えながら
トイレの扉の前にたどり着くと、そこにもAはいない様子。

それから、脱衣所、お風呂、寝室、そしてもう一度リビングと
Aを家中探すが


ＫＨ『・・・え、いない・・・？』


こんなとこにいるわけないか、と思いながらも
一応ベランダに出てみるがやっぱりいない


空に厚い雲がかかり今にも雨が降りそうな空模様。
今の自分の気持ちと妙にリンクしていて
それがまた更に不安を煽る。


どこに行ったんだ？


さっき僕はウニョギと電話してて
その会話を聞いて「ふふっ」って可愛い笑い声が聞えてた
その後もAは黙々と料理をしていたし
絶対一緒の部屋にいたし・・・


あ・・・

でも、その後小さく

「あ、」って呟いてた。


その声にすぐ振り向いたけど「気にしないで」って
ジェスチャーで表わしてたから僕はまたすぐに
視線を元に戻したんだ


もう一度キッチンに戻ると
ほとんど出来上がっているように見える料理達

料理が終わっても冷蔵庫の中は食材が揃っている。


その時、ポツポツと雨が窓にあたる音がし始めた


それまでキッチンを眺めていた僕はハッと我に返り
急いでクローゼットからパーカーを引っ張り出して
踵がスニーカーに収まりきっていない足で家から飛び出した


買い忘れがあったら言ってねって言ったじゃないか！！！(怒)


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