６、新たな出会い ページ9
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落ち着いたことで周りを見渡すことができた。自動販売機、ソファーに机がある場所のようだ。A以外にも先客が居たがその人は座り込んで何かをしていた。
「どこ行ったかな。たしかここに落ちたんだけど」
よく見ていると先客が慎であったことに気付きAは驚いてしまった。なにかを探しているようであり、Aからは慎の探している所とは違う所で何か光るものが見えた。その場所に行くと光るものはピアスであった。見覚えのあるピアスはAの記憶のなかで慎が付けていたものであったような気がした。慎を見るとまだ見つかっていないようで探している。どうにかして伝えたいがAの声は多分聞こえないはず。
《少し動かして光を反射させたらわかるかな…》
Aが出来るなかで物を動かせる能力があるため位置は変えずピアスが電気の光を反射するように小さく動かしていく。何度か動かすと上手く慎に光が反射したようでピアスが落ちている方へ顔を向けた。
「あ、あった。全然違う所だったんだ。」
「見つけられてよかったー」
見つけられたようでAは安心した。その気持ちがつい口に出てしまったが聞こえないのがわかっているため焦ることなく落ち着いている。
「え?誰?」
慎の言葉に素早く口を押さえる。樹以外には聞こえていなかったはず。Aの頬に嫌な汗が一筋伝っていく。
「空耳?確かに聞こえたんだけど…」
ピアスを拾い上げながら慎は声の元を探すように周りを見回すがAは慎の真後ろに入るため視線の先にはまだ入っていない。
《大丈夫。声が聞こえても私は見えないはず。》
ゆっくりとAは慎から離れるように後ろに下がっていく。浮いているので物音はたたないが声が聞こえてしまったため慎重に下がる必要があった。慎は探すのを諦めたのか立ち上がり体の向きを変えた。まさかのAの居る方向である。慎がAへ顔を向けた。驚いたように目を見開いたのでAは、自分が見えているという事実がすぐに判ってしまった。
「え、透け…てる？」
「見…えてる」
続く (更新停止中)
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作者名：田中 | 作成日時：2018年9月23日 22時
