可愛い。 ページ7
夜、いつも通りやってきた弟が、まず1番に言ったことは
「どうして蘭に本当の事言わなかったの?」
だった。
両親の前では言えないし、ずっとウズウズしていたのだろう。
『えー、だって言ったら新一困るでしょ?』
「でも俺、嘘ついて…。」
『うーん、確かに、嘘は良くないね。』
でも、と一言付け加える。
『新一に嫌われたくなかったからさ。』
私はグズだ。前世の時から性格が悪い。
一見、人の良さそうな言葉ばかり並べるが、実際自分さえよければ全て良し。
今だって、可愛い弟に嫌われないことを優先して、言葉を並べる。
「でも、嘘はいけないことなんだろ!?普通嘘ついてるの見たら、叱るんじゃ…」
『そうだね。じゃあ、約束して。
今日見逃してあげた代わりに、これから絶対、嘘つかないって。』
まあ、こんな約束しても、どうせ10年後に人生最大の偽りの人生が始まるんだけど。
『実はね、私も1人で寝るの寂しかったんだ。だから新一がいてくれて助かったよ。』
あたかも、いいお姉ちゃんであるかのように。
言葉巧みに、利用して。
(──この、仮面女!!)
一瞬、頭痛がしたが、構わず続ける。
弟を抱き寄せて、ゆっくりと、慎重に。
『だから明日からも一緒に寝てくれないかな?』
「なーんだ。姉ちゃんも寂しかったんだ!!いいよ、一緒に寝てやるよ。」
知ってる。
工藤新一は、記憶力がいいこと。
きっと今、私が不審な言動をしたら、今誤魔化せても、後が誤魔化せない。
知ってる。
今、廊下で両親が聞き耳立てていること。
あまり性格悪いことはしたくない。
これは、私のエゴだ。
目の前でニコニコ笑う弟を、10年後、私はきっと見捨てるだろう。
その時のための保険だ。今のうちにいいお姉ちゃんを演じていれば、後悔も少し小さくなるだろうという、私の策略。
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りんご - やっばり、慧くんは相馬たかしをイメージしていたのですね!! (2017年4月17日 0時) (レス) id: f8e55a06ed (このIDを非表示/違反報告)
カヤちゃん - ハルさん» いえいえ(*^^*) (2017年2月16日 20時) (レス) id: 75dc59c505 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - そうですか。勘違いしてすみませんでした (2017年2月16日 17時) (レス) id: 87f773fa19 (このIDを非表示/違反報告)
カヤちゃん - ハルさん» 私が作品を訂正するのは誤字脱字があった時や文脈が可笑しかった時なので多分勘違いです^^; (2017年2月16日 15時) (レス) id: 75dc59c505 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 以前読んだ時は慧くんはベルモットの息子って言う設定で組織の何らかの事件に一花ちゃんは巻き込まれる。みたいな展開だった記憶があるんですが… (2017年2月16日 8時) (レス) id: 87f773fa19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カヤちゃん | 作成日時:2017年1月31日 11時