彼氏に一泡吹かせたい【urt】 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:8,483 hit

前日譚ページ1

“浦田渉にぎゃふんと言わせたい”

事の発端は毎月恒例のある人との電話だった。

.

『渉ってチビで生意気なくせにどうしてかっこよく見えるんだろう。なんかムカつく』

「そんなこと言ってたらうらさん悲しむで～？」

『いつも余裕かましてる渉は傷つきません』

「そう見えるだけやって」

『いーや！絶対に何も思わないね！』

「はあ……。なんやこの二人……」

坂田は呆れたようにため息をつくけど仕方ないじゃん。向こうが何だかんだでイケメンなのが悪い。

「ところでAは何の用で電話かけてきたん？いつも通り愚痴電話なん？」

『ん～。今日は愚痴もそうだけど相談があるんだ』

「今日のAは珍しいな？そんな素直だと調子狂うわ」

『は？……まあ今日は機嫌良いからいいか。それで相談なんだけど。渉ってどうやったらぎゃふんって言うと思う？』

「は？」

いや、「は？」って言われても。思いつかないものは思いつかないんだって。こう見えて1週間は考えてるからね？

私は渉がぎゃふんって言う姿を見たいだけなんだって。あのいつもかっこい～浦田渉さんがぎゃふんって言うなんて考えるだけで面白いもん。

「うらさんならAがいつもと違うことするだけで騒ぎ出しそうやけどなあ」

『なんか言った？よく聞こえなかったんだけど……』

「何でもないで。……そやね、うらさんは多分Aがいつもより大人びたことするだけで簡単にぎゃふんって言うと思うけどなあ」

『大人びたこと？例えばどんなこと？』

「知らん」

『はあ？』

せっかくアドバイス貰えると思ったのに「知らん」とは。私も知らんわ、今ならヤ○ー知恵袋で質問出せるくらいにわからない。質問内容は【急募大人っぽいの定義】とかで決定。さあ、誰か教えてくれ。

＿＿＿＿何も思い浮かばなかった。坂田と5分くらい悩んでたのにまじで良いアイディアは出てこなかった。

『なにか思いついた～？』

「無理」

『坂田もか』

そんな風に坂田と話していると渉が話しかけてきた。邪魔しないでよねー、とか言ったらこちょこちょの刑だから黙っとくけど。

「コーヒー作ってよ～」

『……それだ』

「なにが？」

『じゃ、坂田。ありがとう』

「はい？」

いつもなら苦くてコーヒーは飲まないけど、ここでコーヒー飲んだら大人っぽく見えるのでは？我ながら良い考えだと思う。

そうと決まれば、早速二人分作るぞっ。