理由。 ページ18
「すっげぇ顔になってんけど大丈夫かー？」
そうおもしろそうに言って、向かいの席に座る米屋。
「なに？悩み事？」
「別に」
そっぽ向いて、オレンジジュースをズズッとストローの音をたてながら飲む。
ラウンジは相変わらず賑やかで、夕方でも人がたくさんいる。
席の横にある植木鉢の葉に目をやって、それから米屋に視線を戻す。
「ねぇ、米屋ってなんでボーダーに入ったの？」
「いきなりだな、おい」
肘ついてそう笑う米屋は「んー」とあからさまに悩んだ様子を見せる。
「なんでって……さぁ、なんでだろーな」
「成り行き？」とか笑って言ってストローを加える。
「なにそれ」
欲しかった答えじゃなかったことに、少し肩を落とす。聞く相手を間違えたってこともあるだろうけど。
「三輪はさ、市民を守るってよりは復讐に奔ってる感じだよね」
「ん、まぁそうかもな」
「どした、いきなり」そう目を細めて訊ねてくる米屋を一瞥して、視線を落とす。
「なんでもない」
「そりゃ、ねーだろ。なに？太刀川さんと関係あんの？」
「なんもない」
ぐるぐるとジュースをかき回し、その手を止める。
ズズッと音を鳴らす米屋は、ストローから口を離して私を見る。
「なぁ。結構大変なの？」
「？なにが？」
「なんつーかさ、両立するのって難しくね？」
「は？」私の小さな漏れは周りの音でかき消された。
米屋の言ったことを理解するのにそう時間はかからなかった。
「さぁ。そーでもないんじゃないの？」
「ボーダー内に好きな子できたの？」そうからかいながら訊けば「ははは、ないない」と手を振る米屋。
「お、噂をすれば悩み事の元凶がやって来た」
遠くの方を見るように、額に手を当てそう言う米屋。振り返れば黒のロングコートに身を包んでる太刀川さんと出水がいた。
「お、槍バカと如月じゃん」
こちらに気づいた出水がそう呟く。すると隣の太刀川さんもこっちを向いて、私たちを視界に捉える。
内心舌打ちを打って、残りのジュースを飲み干す。
そんな私を見てた米屋は苦笑い。たぶん、相当顔が酷かったんだと思う。
「なにしてんの」
「人生相談」
出水へそう返した米屋に「人生相談？」と首を傾げる太刀川さん。
めんどくさい二人が来たもんだ。
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柳スウ - 太刀川さんの小さな気遣いカッコいい。 (2016年7月13日 16時) (
レス) id: 4dc969e182 (このIDを非表示/違反報告)
日菜(プロフ) - 前まで出水くんが一番好きだったのにこれを読んでから太刀川さんが好きになった……凄いいい話…･゜･(｡´ﾉω･`)。ｳｳｩｩ (2016年5月3日 20時) (レス) id: 65293e9234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年5月3日 19時
