冷・暖。 ページ36
Aside
昔は普通に友達はいた。笑いあえる子、相談できる子、遊んだりする子。それなりにいた。
変わったのは4年半前のあの日。
周りの人たちと同様に私も大切な人を、母親を失った。
そこから家庭は変わった。
「お父さん…？」
「悪いけど一人にしてくれ」
私の頭に手を乗せそれだけ言った父は自室に閉じこもった。
その手が冷たかったことを今も覚えてる。
母がいた頃はどこの家庭となんら変わらない幸せな家庭だった。
ある日気づいた。父は私より母が好きなんだって。大事なんだと。
それは私だって分かってるし、承知もしてる。だけど私は母の代わりにはなれない。母みたいに愛してもらえない。
だったら私は父にとってどんな存在なんだろう。
そんなことを思って過ごすこと3ヶ月。
ある日親戚がやってきて荷物をまとめるように言われた。
どうやら父が呼んだみたいで、これから私はこの人たちと住むらしい。
一人じゃ私を養える自信がない。そう言って父は消えた。
それは最後に私に対する愛情だったのか。でも私から見たら冷めてるようにも見えた。捨てられたんだと思った。
「ボーダーって知ってる？」
車の中で親戚がそう話題をふってきた。私は首を横に振る。
窓から見える街はまだ傷が残ってて、私のいた学校は消えてた。だから別の学校に転校。
そんな中見入ってしまったものがあった。随分と大きな建物。あんなものあっただろうか。
「……ボーダー」
それから次の年にボーダーに入隊した。
B級に昇格して親戚に迷惑かけないよう、高校へ入学すると同時に一人暮らしを始めた。
そこからチームに誘われて、一緒にA級へと昇格。
また気軽に話せる楽しい人たちと出会えた。そう思った。
けど、隊長は他界。もう一人は県外へ。また周りから人が消えた。
私は欲しかった。
愛情とかそういう、人の暖かさを。
手に入るかと思ったから、あまり話したことのない人と付き合ったりもした。
けど、結局はそれは冷めてたもので私の欲しいものはどこにもなかった。
でも太刀川さんは違った。
この人はしつこいほど私に突っかかってきて。
それがいつの間にか暖かく感じて。
もしも突然太刀川さんが話しかけてきてくれなかったらどうしよう、とか思ったときもあった。
それほどまで私にとって太刀川さんは大切な存在だったのかもしれない。
父から全部貰えなかった愛情をこの人はくれるかも。
誰かを好きになるなんて初めてだったから。
◇
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零(プロフ) - 太刀川さん素直で大好きすぎる (2016年4月10日 1時) (
レス) id: 4463289b78 (このIDを非表示/違反報告)
いずみんLOVE - 出水が太刀川さんより男前だ・・・。 (2016年4月2日 15時) (レス) id: 61123b8b09 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - 新作面白いです。風間さんの話とはまた違う感じが良いですね!頑張ってください！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年3月21日 1時
