真恋。 ページ35
太刀川side
『あ、Aなら突き当りを右に曲がった仮眠室にいるよ』
廊下で会った迅はそれだけ言って俺の横を通り過ぎて行った。
きっとなにか視えてたんだろ、そう分かってはいたんだが。
「っ……好、き…太刀川さん」
そりゃねぇだろ。不意打ちかのようにそう言ってきたそいつは恥ずかしさのあまりなのか耳まで真っ赤にしながらずっと俯いてる。
一つ距離が置かれたため遅かれ謝りに来たが、いきなりすぎんだろ。
「初めてか、それ言うの」
膝上に置かれてるそいつの手がピクッと跳ねた。
黙って頷くそいつを見て口角を上げる。
「ふーん、ならよかった」
「えっ」と顔を上げるそいつの体を引き寄せた。いつも感じるそいつの体温、匂い。
俺って今幸せなのかも。
「それ、俺以外の奴に言うなよ」
そいつの初めてが俺ですげぇ優越感を感じる。
背中に腕を回せば、声を詰まらせてそしてそのまま身を預けてくれる。
「ずっとさ、一緒にいたいって言われたの嬉しかった」
「だからさ…」そう言葉を詰まらせた。もじもじしながら、照れくさそうに顔を上げるA。
そいつと目が合った瞬間息が詰まった。胸が高鳴ったような気がした。
「太刀川さんなら…いいな、って…」
最後の方はだんだん小さくなって、その顔がまた初めて見る表情で。
今俺は間抜けな顔をしてると思う。いや、だって愛する彼女からこんな予想外なこと言われたんだぞ？
あーつまりあれか。もう好きなようにしてもいいってことか。
「…そーゆうことでいいんだよな」
「え…？」
「たちか、」俺の名前を呼ぶそいつの口を自分の口で塞いだ。
うっすら目を開けてみれば真っ赤になったそいつの顔が間近にあって、俺と目があったAは強く目を瞑った。
俺も目を瞑りそいつの腰を強く引き寄せる。あ、これがファーストキスってやつか。
「もしかして初めてか」
離せば肩を上下に揺らし呼吸をするそいつが視界に入る。
「あた、りまえっ…」
途切れ途切れにそう言うAは口元に手の甲を当てて少し距離を離す。
だから俺はその距離を詰めてまた口を塞いだ。
トサっとそいつを組み敷けばベッドが軋んだ。
今日初めて恋人らしいことしたかも。もしかしたら今までの関係は偽りだったのかもしれない。
それはお互い経験が少なかったからなのかも、な。
「っ…ばか」
下のそいつの言葉によってその考えをかき消した。
だってこいつのこんな顔ずっと見ときてぇし。
◇
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零(プロフ) - 太刀川さん素直で大好きすぎる (2016年4月10日 1時) (
レス) id: 4463289b78 (このIDを非表示/違反報告)
いずみんLOVE - 出水が太刀川さんより男前だ・・・。 (2016年4月2日 15時) (レス) id: 61123b8b09 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - 新作面白いです。風間さんの話とはまた違う感じが良いですね!頑張ってください！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年3月21日 1時
