罪深い ページ34
本部へと戻った私は迅さんと別れ、仮眠室にへと入った。
電気をつけ暗い部屋を照らす。
換装を解いてぼふっ、とベッドにダイブする。
スマホを取り出せば当然なにも来てなくて。ここ最近ずっとこんなことの繰り返し。
その耽美にため息をつく。
「……バカだな私」
そう呟いて目を閉じる。
すると仮眠室のドアが静かに開いた。
バッ、と起き上がれば目に入ったのは太刀川さんだった。
「寝るとこだったか？」
「よぉ」と軽く手を上げ入ってくる。
「え…なん、で」
「まぁあれだ、忍田さんの力だ」と付け加えて、ギシっと軋むベッドに腰掛ける太刀川さん。
少し戸惑う私を見て口を開かせた。
「この間は悪かったな」
頭に乗せられた手は私の髪を撫でてすぐに離れていった。
自身の足の上に肘をついて背を向ける太刀川さん。
「別に…気にしてないよ」
妙に重い空間にそう呟いた言葉が溶けていった。
暫く間が空いて、その背中に手を伸ばそうとしたがやめた。
その手を数秒見つめて、そして自分の膝上に下ろした。
「ねえ、私のこと…好き？」
「んー？そんなの当たり前だろー」
顎を上げて、そして背後の私を見る太刀川さんはなんら態度を変えることなく普通にそう答える。
「どうかしたか」と訊ねる太刀川さんに「ううん、別に…」そう曖昧に返す。
「そうか」と短く返した太刀川さんは顔をまた前に戻した。
この人はあの時の話題を私に出さないように意識してる。
太刀川さんは前に出ようとしてるのに、私はそれに答えられてない。
「…あの、さ」
身を乗り出して太刀川さんの黒いTシャツを引っ張る。ギシっとまたベッドが軋んだ。
振り向いた太刀川さんは一瞬固まって、そして似合いもしない作り笑顔で言った。
「なんだ？」
そんな顔太刀川さんらしくない。
きっとそうさせてるのは私なんだって、身にしみて理解する。
気を遣わせてるのも、変に一歩下がってるのも、全部私のせいなんだって。
「ぁ、いや…そのっ、」
慣れない言葉を言うのは緊張するもので、はっきりしない言葉が漏れてしまう。
引っ張ってたその手を離せば、片足だけあぐらをかくようベッドに乗せ体を向ける太刀川さん。
貰うだけ貰ってなにも返せてない。なんてズルいんだ私。唇を強く噛みしめて、そしてまた口を開かせた。
「っ……好、き…太刀川さん」
また目の前のその人の顔が固まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 171人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零(プロフ) - 太刀川さん素直で大好きすぎる (2016年4月10日 1時) (
レス) id: 4463289b78 (このIDを非表示/違反報告)
いずみんLOVE - 出水が太刀川さんより男前だ・・・。 (2016年4月2日 15時) (レス) id: 61123b8b09 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - 新作面白いです。風間さんの話とはまた違う感じが良いですね!頑張ってください！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年3月21日 1時
