不平等。 ページ33
「Aちゃーん」
わざとらしく上げた声でそう呼ぶ迅さんは背後から腕を伸ばしてそれを私の首に回す。
「ぐえっ…」
トリオン体とはいえ、普通に首をしめられたら反動でそんな声が出るのはしょうがない。
夜遅くの任務。
辺りはあまりなにもなく、狭い範囲で更地状態だ。
「一人？」
「っ、他の人は、どっか別のとこっ」
離れろ、その意味を込めて腕を叩くが一向に離れる気配なく。
そんな私を見ての気遣いなのか少し力を緩める迅さん。
「そっかそっか」
腰に掛けてる風刃に視線をやって、この人も任務なんだと納得する。
身長差のためか、頭の上に顎を乗せて鼻唄を唄ってる迅さん。
「早く離れてください」
「えーどうしよっかなー」
緩まってる腕から抜けようと足を踏み出せばぐいっと後ろに引かれさっきの体制に戻る。
「ねぇ、時間も遅いし家まで送ってあげようか？」
離れる気のない迅さんに内心軽く舌打ちを打って断念する。
頭の上に乗せてた顎を離して、今度は肩に乗せる。そうすると真横に迅さんの顔があって、にんまり笑ってる顔が目に入った。
「結構です。一人で帰れます」
「えー女の子一人で？」
「問題ありません」
「ふーん」と短く返した迅さんは懲りずにまた口を開かせる。
「じゃ、飯奢ってあげようか」
「お腹空いてるでしょ？」そう訊いてくる迅さんにため息をついて渋々口を開く。
「結構です」
「えー」と言っときながらも相変わらず笑みを浮かべてて。
顔に貼ってるその笑みの意味が理解できないときがある。その点ではこの人と米屋は似てると思う。
「じゃぁさ、太刀川さんだったら受け入れてた？」
ほら、また意味の分からない笑みを浮かべてる。
そんな迅さんに対して私は目を開かせて少し困惑する。
「……別にそんなんじゃ、ないし」
でも迅さんよりも太刀川さんの方がいいな、とかどこかで思ってたりしてたかも。
手を握るのも、抱き合うのも、一緒に過ごすのも、できることなら全部太刀川さんがいい。
「かっわいいなーほんと」
ギュッと強く抱きしめてくるこの人は加減を知らないんだろうか。まるで小さな子がぬいぐるみを抱きしめる勢いだ。
「ちょ…離れてっ、」
「よし、そろそろ時間だし戻ろっか」
絡めてた腕を解いた迅さんは私の頭を軽く叩いて本部にへと足を向ける。
そんな迅さんのうしろを数m空けてついて行った。
◇
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零(プロフ) - 太刀川さん素直で大好きすぎる (2016年4月10日 1時) (
レス) id: 4463289b78 (このIDを非表示/違反報告)
いずみんLOVE - 出水が太刀川さんより男前だ・・・。 (2016年4月2日 15時) (レス) id: 61123b8b09 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - 新作面白いです。風間さんの話とはまた違う感じが良いですね!頑張ってください！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年3月21日 1時
