嘘。 ページ29
Aside
息が苦しい。なんで？
そもそもいきなり何？今までそんなこと言ったことなかったのに。
制服の胸元をギュッと握る。心臓バクバク鳴ってる。
「おい、大丈夫か」
そんな私を見てか、その大きな両手で私の顔を包んで持ち上げる。目が合った。
ダメだ。今は太刀川さんの顔を見るだけで頭がおかしくなりそうだ。
「っ、」
私を見て声を詰まらせた太刀川さんは一瞬視線を逸らした。
顔が熱い。たぶん太刀川さんの手が暖かすぎるからだ、きっとそうに決まってる。
『俺はお前にずっと傍にいてほしい』
さっきの言葉が頭の中でずっとリピートされる。
すっ、と気が落ち着くというか。
初めて言われたことだから、どう受け止めればいいのか分からない。
「なあ、A」
気づけば目の前に太刀川さんの顔が合って。この距離なんてしょっちゅうあるものなのに、今だけはすごい変に意識してしまう。
だからつい、視線を横にへと逸らしちゃう。
「お前は俺のことどう思ってるんだ」
ここは普通「好き」ってこたえるのが筋なんだろうけど、生憎そんな返答私にはできない。
「好き」って言えば嘘になる。けど「嫌い」って言えばそれも嘘になる。だから、
「……嫌いじゃ、ない」
下を俯いてそう返す。小さかったけどこの距離なら問題ない。
「……そうか」
私の顔から手を離した太刀川さんは小さく笑ってそう呟いた。
なんでそんな辛そうな顔してるの？もしかして私のせい？私が傷つけてるの？
「俺の気持ち伝わったか？結構頑張ったんだけど」
私はそれに対してなにも言わず、ただ首を縦に動かした。
「ならよかった」そう言う太刀川さんを見てすごく胸が締めつけられる。なんだこれ。
「……A」
さっきから名前を呼ばれるたびに心臓が跳ねる。
先程もよりも低いトーンに自然と目線が太刀川さんにへといく。
柄にもなく真剣な顔して、それでいてどこか大人らしさを感じさせる。
少し沈黙が続いて、そして口を開かせることなく顔がゆっくり近づく。
「ぇ、たち…」
その行動に理解できたのはすぐだった。言葉にできなくただ声が詰まる。
目の前の、太刀川さんの匂いが鼻をかすめて、一瞬思考を鈍くさせた。
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零(プロフ) - 太刀川さん素直で大好きすぎる (2016年4月10日 1時) (
レス) id: 4463289b78 (このIDを非表示/違反報告)
いずみんLOVE - 出水が太刀川さんより男前だ・・・。 (2016年4月2日 15時) (レス) id: 61123b8b09 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - 新作面白いです。風間さんの話とはまた違う感じが良いですね!頑張ってください！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年3月21日 1時
