ヤキモチ。 ページ22
「今日は誰とやったんだー？」
そう訊いてくる太刀川さんは真っ暗な空を見上げていた。
「鋼さんと。まったくダメだったけど」
「へぇ、鋼と」
太刀川さんは鋼さんに厳しいけどその分期待はしているみたい。
私はA級といっても、今日みたいに攻撃手No.4の人に勝てる実力もない。
少しだけ鋼さんが羨ましい。私も厳しい言葉を突きつけられてもいいから強くなりたい。
…あれ？羨ましい？
…あれ、なんだこれ。
「なあ、そろそろ俺ともしよーぜ」
「…うんそうだね」
暗い道をずっと俯きながら適当に返す。頭の中でぐるぐるといろんなものが回る。
羨ましいってなんだ。なにが羨ましい？
「え、マジ？お前いっつも断るくせに」
「え…え？」
我に返って横を見ると「よっしゃ」と嬉しそうに口角を上げる太刀川さんが。
あれ、私さっきなんて返した？自分の発した言葉すら覚えてない。
「あー、嘘。しない、絶対しないから」
「いーじゃん、決まりな」
たった一言間違えただけで取り返しのつかなくなる。呆れてため息をつく。
ああ、もういろいろとめんどくなってきた。
「どうした？」
足を止めて、そして握ってた手をぐいっと自身の方へ引っ張り、私の顔を覗き込む太刀川さん。
「なにが？」
「わかんねぇけど、なんか難しそうな顔してたっつーか」
「しわ、寄ってたぞ」と眉間を指して笑いながらそう言う。そんなにか、とぼんやり頭の中で思った。
また歩み始める足。
「俺もそのうち鋼と戦るか」
鋼さんの名前を出されてまたさっきのことを思い出した。
よく分からないけど、鋼さんに対して少し対抗心が芽生えてる私がいる。
なにこれ……
……、
…ヤキモチ？
私が？鋼さんに？
「……やっぱなんかあったろ？」
「え……なんで？」
「手、今強かった」
握った手をひょいっと上げる太刀川さんは、鋼さんとのランク戦を考えて上げてた口角を下ろし、私をじっと見据える。
「太刀川さん、」
「ん？」と耳を傾けてくれる。
訊きたいことがたくさんあって、どうまとめればいいのか分からなく頭の中でごちゃごちゃしてる。
それをすべて呑み込んで。
「あー……ありがと」
マンションへと辿り着いて、そう礼を言ったら「…あぁ」とちょっと間があいた返事がきた。
その礼が何に対してなのか自分でもわからなかった。
なんでそんな深刻そうな顔するの？
やめてよ、こっちまで辛くなるからやめてよ。
◇
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零(プロフ) - 太刀川さん素直で大好きすぎる (2016年4月10日 1時) (
レス) id: 4463289b78 (このIDを非表示/違反報告)
いずみんLOVE - 出水が太刀川さんより男前だ・・・。 (2016年4月2日 15時) (レス) id: 61123b8b09 (このIDを非表示/違反報告)
soyon(プロフ) - 新作面白いです。風間さんの話とはまた違う感じが良いですね!頑張ってください！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 07f2e5561f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：§KAYA§ | 作成日時：2016年3月21日 1時
