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「今日休みでしょ?」


身体ごと私に向いたジミンが言う。
白いTシャツが風で涼しそうに靡いている。


「そうですけど…」


「じゃあちょうど良かった」


「何がちょうど」


「ちょっと来て」


私の話を最後まで聞かない。
ジミンが私の手を掴んで歩き出してしまって、漢江をぼんやり眺め堪能してた時間なんて正味10分もなかった。

向かい風が吹く度にジミンの香水が匂って、そういえばこんな匂いだったと懐かしさに胸が詰まる。

どこに行くのかと聞けばいいのに、聞けなかったのはその匂いがしたからだ。
こんなの良くないのに。
ジミンは何を考えてるんだろう。

私は確かに"嫌い"って言ってジミンにはナリさんがーーー



手を振り解けない自分の弱さと罪悪感に集中している時、ジミンが急に立ち止まった。


「まずここで買い物ね」


と、言うとまたすぐ手を引いて"ここ"であろう目の前のカフェの中の扉を開けた。
店内からパンが焼ける良い香りがした。


「、なんでパン…」


「なんでって食べるからでしょ?それ以外ある?」


「いやそういう意味じゃなくて…あの、ジミンさん説明下手って言われません?」


「ないよ!だってカフェに入ってパン見てトレイ持ったら買って食べるって誰だって分かるじゃん、笑」


何故か私が負けた感がする。
楽しそうなジミンとは正反対に私の眉間には力が込もる。
とはいえ目の前のパンはどれも美味しそうなのは間違いない。


「Aはこれね」


美味しそうだなと見ていたクロワッサンサンドをジミンがトレイに乗せた。
それから少し前にこれも食べたいかもと思っていたチョコデニッシュまでそこにあった。

ジミンの顔を見上げるとふふんと笑って


「当たったでしょ?Aって分かりやすいよね」


そう言って会計に向かった。

確か同じ様なこと前にも言われた事がある。
ジョングクがジミンの家に来た時だ。
キーチェーンといい今の発言といい、過去のそれを一個ずつ辿ってるみたいだ。

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設定タグ:BTS , ジミン , 防弾少年団   
作品ジャンル:恋愛
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かむ(プロフ) - リンゴ酢さん» ありがとうございます😌お洒落は初めて言われました!笑 次回作考え中なのでよかったらまた読みに来て下さい! (3月11日 10時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ酢(プロフ) - かむさんの小説読みやすくてオシャレ(?)でいつも更新されるのを心待ちにしてます🥹💞これからも楽しみにしてます₍ᐢ•͈༝•͈ᐢ₎♡ (3月11日 3時) (レス) @page32 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - サマンサさん» ありがとうございます😂ジミンさんかっこつけたいので応援してあげて下さい!笑 (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 70話の会話のテンポ好きです!ジミン応援したくなります! (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 78ef7cafd1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月7日 20時

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