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「スカートで来るかなってちょっと期待したのに」
「…暑いんで早く行きません?」
下唇を突き出すジミンを無視した。
これといって気合いを入れようなんて思わなかったから、黒いタンクトップにデニムで来た。
のに、それを顔を合わせるや否や指摘されるとは。
ジミンだってTシャツにデニム姿なのに。
いつもと同じじゃんって。
待ち合わせは漢江だった。
8月5日、無事晴天。
広く見える空はスッキリとした青で、景色の中の緑の木々も眩しく見える。
「どこに行くんですか?」
派手なオレンジ色の頭も見慣れた。
その少し後ろを歩く私に振り向いたジミンが
「どこでしょう?まぁいいから、今日くらいは黙って助手席に座ってて」
なんてそのオレンジをかき上げて誕生日当日の私より嬉しそうに笑みをこぼす。
しかも'寝ててもいいし'なんて私の寝坊をイジる冗談まで。
言われなくても黙って助手席に座ってるつもりだったけれど、如何せんジミンの隣でどうなるか自分にとってそこは未知の世界なのだ。
それに加えて明らかな高級車に乗るのも初めてなわけで。
ドアを開けた瞬間の車内の匂いだけでやっぱり帰りたいかも、なんて弱腰になった。
だって車内は個室だしそこが全部ジミンの香りで埋め尽くされていたから。
てきぱきと慣れた手つきで運転への準備をこなすジミンの横で静かに深呼吸を繰り返す。
「はい、これ」
そんな私の眼前に淡い茶色のイノシシの小さいぬいぐるみ。
イノシシか?ブタ?か?
「…何ですか、」
「イノシシ」
イノシシで正解だった。
いや、そうじゃなくて、それもそうなんだけれども。
「なんで急にイノシシ…」
つぶらな瞳のイノシシだ。
毛がぽわぽわしている、この夏に見るのはちょっと暑そうだなって思う柔らかさ。
ハンドルを切って車をバッグをし始めるジミンが'なんでって'と
「俺の干支だから」
平然と答えた。
そんなの知らないし。
ていうか百歩譲ってジミンの干支だとして、今日私の誕生日なのに自分の干支のぬいぐるみ寄越すって。
ていうか今日は花じゃないの?って。
「今日、自分の干支、渡します?笑」
吐きそうな程緊張してたのに、そんなの忘れて身を屈めてまで笑った。
ジミンがどんな表情をしてたのか分からないけど、イノシシのぬいぐるみは"仕方なく"貰ってあげる事にする。
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かむ(プロフ) - リンゴ酢さん» ありがとうございます😌お洒落は初めて言われました!笑 次回作考え中なのでよかったらまた読みに来て下さい! (3月11日 10時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ酢(プロフ) - かむさんの小説読みやすくてオシャレ(?)でいつも更新されるのを心待ちにしてます🥹💞これからも楽しみにしてます₍ᐢ•͈༝•͈ᐢ₎♡ (3月11日 3時) (レス) @page32 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - サマンサさん» ありがとうございます😂ジミンさんかっこつけたいので応援してあげて下さい!笑 (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 70話の会話のテンポ好きです!ジミン応援したくなります! (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 78ef7cafd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月7日 20時