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ナリさんの突然の謝罪とお辞儀。
何の事なのか。
困惑する私はナリさんの様子を窺うしかなくて、ナリさんは伏し目がちに'あの'と続ける。
「ジミニと上手くいったって言ったの…あれがその…嘘なんです…」
ナリさんのその言葉を聞いても困惑と呆然が続いて言葉が出てこない。
なのに頭の中では色んな自分の言葉がぐるぐるしている。
そうだったの?!とか、なんでそんな嘘ついたの?とか、それを私に言われても…とか、ごちゃごちゃ。
でも何一つ言えないままだ。
だからナリさんが言葉を選びながら話し続ける事になる。
「、バラは…後から連絡が来て…そういうもりならもう受け取れないって言われちゃって…、その、それ以外もハッキリ言われちゃって…」
所々濁してはいるがそれが分からない程馬鹿じゃない。
「付き合えないのは仕方ないけど、それならせめて嫌われたくなくて…、幻滅されたくないというか…、私の自己満足ですけど、それで今日ここに来て…」
寂しそうに微笑むナリさんを見たらまたどんな言葉を言えばいいのか少し迷ったけれど、いつまでも黙ってる訳にもいかないから。
「あの…、気を悪くされないでほしいんですけど、それ…私に言う必要ない…んじゃないかなぁ…って…」
頭の中でごたついていた言いたい事の一つを、自分なりに遠回しにオブラートに包んだつもりで。
目線はナリさんに向けていられなくて、やっと落ち着いた場所に置かれた青いサマーミストだ。
前置きをしたのだけれど、返事がなくてやっぱり気を損ねただろうか。
と、不安になって恐る恐るナリさんに視線を向ける。
目が合うと何故か困った様に小さく笑ったナリさん。
「でも、言わなきゃいけない人、"Aさん"しかいませんから」
'お仕事中すみませんでした'
すぐにそう付け足すとナリさんは小さく会釈をして何処か晴々とした表情で店を出て行った。
言わなきゃいけない人が私しかいないって。
しかも名前初めて呼ばれた。
どういう事?
表に追い出したジュンソの事を忘れて、暫くサマーミストの前から動けなかった。
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かむ(プロフ) - リンゴ酢さん» ありがとうございます😌お洒落は初めて言われました!笑 次回作考え中なのでよかったらまた読みに来て下さい! (3月11日 10時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ酢(プロフ) - かむさんの小説読みやすくてオシャレ(?)でいつも更新されるのを心待ちにしてます🥹💞これからも楽しみにしてます₍ᐢ•͈༝•͈ᐢ₎♡ (3月11日 3時) (レス) @page32 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - サマンサさん» ありがとうございます😂ジミンさんかっこつけたいので応援してあげて下さい!笑 (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 70話の会話のテンポ好きです!ジミン応援したくなります! (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 78ef7cafd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月7日 20時