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「あれ?店長それさっきまでのと違いません?」
初めての配達を無事に終えたジュンソの目敏い指摘が入った。
私のボディーバッグを指差してジュンソが言った"それ"というのは向日葵のキーチェーンの事だろう。
「、お客さんがくれて…」
間違いではない。
別に友達でもないし。
敢えてパソコン作業をしながら答えるとジュンソから'へぇ'といつもの返事が返ってくる。
「なんか最近、店長ひまわりばっか貰ってますね」
「本当にね、別に他の花でもいいんだけどね」
と、気を紛らわせる言葉を自分で言う。
他の花でもいいなんてそんな事思ってない。
かと言って見知らぬ誰かに向日葵を送られるのもやきもきするというもの。
それに今日来たジミンがこのキーチェーンを寄越して帰った事も。
ただそんな事を思いつつも白い向日葵は全部押し花にしてるし、図々しくキーチェーンを付けてるという現状。
つまり私も大概である。
白い向日葵は12本で止まったまま、結局今も送り主は定かではない。
その代わりみたいにジミンが突然店に来て、最初に会った時のようにキーチェーンを渡して。
向日葵ばっかり貰うのもこの状況も謎だらけだ。
「そこに付いてた前のそれどうするんですか?」
選手交代されたひよこのキーチェーンがカウンターに転がっているのをジュンソが覗き込んだ。
「んー…なんか捨てるのはちょっと憚れるというか」
「じゃあ俺が貰ってあげましょうか?洗えば綺麗になるし」
ジュンソが言う通り鮮やかな真っ黄色だっただあろうひよこは薄っすらグレーがかっている。
ひよこの黒い目と目が合った気がした。
オレンジ色のプラスチック製の嘴が付いてる。
「、ダメ、意外と愛着あるから、私が洗って家に置いておく」
そう言ってボディーバッグの内ポケットに入れた。
馬鹿みたいだけれど、ジミンが拗ねた時の表情と横顔とひよこが重なって見えたから。
一瞬はジュンソにあげてもいいかも、なんて思ったのに出来なかった。
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かむ(プロフ) - リンゴ酢さん» ありがとうございます😌お洒落は初めて言われました!笑 次回作考え中なのでよかったらまた読みに来て下さい! (3月11日 10時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ酢(プロフ) - かむさんの小説読みやすくてオシャレ(?)でいつも更新されるのを心待ちにしてます🥹💞これからも楽しみにしてます₍ᐢ•͈༝•͈ᐢ₎♡ (3月11日 3時) (レス) @page32 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - サマンサさん» ありがとうございます😂ジミンさんかっこつけたいので応援してあげて下さい!笑 (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 70話の会話のテンポ好きです!ジミン応援したくなります! (3月9日 21時) (レス) @page20 id: 78ef7cafd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月7日 20時