行ったり来たり行き止まり[2]

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「2年契約なんで、2年経ったらまた私が隣に戻れるじゃないですか、契約終了するわけだから」


ソファに寝そべってるユンギ。
私はユンギの頭を見下ろす形で座っている。

'ふぅん'と興味なさげなユンギの目はテレビのバスケットの試合に釘付けで、こうなると話しなんか聞いてないのは分かる。
一緒に住んで半年過ぎる前に気付いた事だ。

さして重要な話でもないから別に構わない。
今話したとて、あと一年は契約が残ってるから私の部屋だった隣には知らない家族が住んでいる。

気のないユンギに話しかけるのをやめて携帯をいじる。
明日は何作ろうかなって。


「あ、そうだ」


ユンギの独り言が聞こえた。
スクロールするレシピの中にハンバーグがあってそういえば久しく使ってないな、なんて。

ハンバーグに決まった時、私の太腿に二回何かが当たって携帯を避けた。
ユンギが私を見上げていて、四角い箱で太腿を＿＿＿＿


「2年どころかもういらないから」


'開けてみ'なんて。
こんな渡し方、する？
そう思うのに、手は震えてるし"まさか"という単語だけが頭の中をずっと回っている。

箱のサイズがもうそれだと思ったけど、本当にそれだった。
ネックレスと同じシルバーの指輪が一つ。
遠慮がちに埋め込まれた光る石が付いている。

隣を見ると寝そべってたはずのユンギがいつの間にかちゃんと座っていて


「これで持って行ける(・・・・・・)」


そんな懐かしい言葉を言うから、飛び付かずには居られなかった。
どこにでも持って行って、と。




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終

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