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今さっきまで自分がいた状況もそうだけれど、ユンギの車に乗り込むのも初めてな訳で。
「それで」
やや緊張しながら助手席に座ったのに、エンジンもかけずにユンギはハンドルに凭れて話し始めた。
「今日はトッポッキ?」
ジンが茶化したそれだ。
「ユンギさんが食べたいなら?作りますけど」
「それは食べたいって言わせたいの?」
「違いますよ、ただ本当に聞いただけです」
本当にただ聞いただけだ。
例えばトッポッキじゃなくても、他に食べたい物があるならそれでも良いしって。
車のエンジンがかかって、何の物音もしなかった車内に車の音とオーディオから微かに聞こえる音楽。
それだけで少し気持ちが落ち着いた。
「じゃあ、トッポッキ食べたいから作って」
そのままいよいよ走り出すかと思ったのに、前を向いたままのユンギから素直な言葉が飛んできた。
顎がシュッと綺麗な形の横顔を見てユンギがこっちを向くのを待つ。
きっと私が見てる事は気付いてるだろうから。
「何?満足した?」
「かなり、笑」
「だろうね」
軽く笑ったユンギが私の頭を少し雑に撫でて、いよいよ車を走らせ始めた。
ハンドルを切る姿も見たかったが、この状況が幸せでむず痒くて家に着くまで窓の外を見ていた。
沈みかけた夕日が眩しかったけれど、それ以上にユンギの運転する姿の方が眩しいなんて馬鹿げたことを思った。
「明日からユンギさんいないんですもんね」
泡だらけのお皿に向かって呟いた。
ユンギがコップを二個私の手元に置いた所で'え?'だなんて、絶対聞こえてたのに、わざとらしい。
「…別に寂しいとか言ってませんからね」
「こないだ早く帰って来てって言ったじゃん」
「それはそれ、今は今、です」
水が勢いよく出ていて泡がよく流れていく、食器達が順調に下の姿に戻っていく。
「いや、俺が寂しい」
水滴が付いているコップを二個、逆さまに置いた時のその言葉はあともう少し早かったらコップを落としてたくらい衝撃的な言葉だ。
「
(持って行きたいのに)
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かむ(プロフ) - にゃんさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます🥹しかも新しいのまで!何回でも読み返して下さい!笑 (4月2日 15時) (レス) id: 5dfe42fd36 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ユンギさんのお話最高でした!!最高すぎるのでもう一度読み返しに行ってきます!!(今更新中のお話もとても楽しく読んでます!私の日々の楽しみです!) (4月2日 12時) (レス) id: b48cf01a74 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - u512さん» 私のペンになんて嬉し過ぎます🥲✨私もいつも終わらせたいような終わらせたくないような気持ちで書いてます!(笑)最後まで読んで頂きありがとうございます🥹 (4月1日 10時) (レス) id: fb7c0dcb39 (このIDを非表示/違反報告)
u512(プロフ) - やはり最高です‼️‼️かむさんペンになってしまいました‼️一生終わらないで欲しいと毎度思ってます‼️最強に拗らせられました‼️‼️これからも楽しみにしています🥹✨ (4月1日 9時) (レス) @page34 id: 37a21340a3 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» 見てきたかのようななんて嬉しいです🥹こちらこそ読み続けて頂いてありがとうございます! (3月31日 20時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月27日 23時