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ユンギの右手の紙袋。
ドユンの左手の紙袋。
私の目に映るユンギの表情。
ユンギが何故私の家の前に_____


「あ、ごめん」


そう言ったのはユンギだった。

目を逸らすというより顔自体を逸らして。
いや、それだけじゃなくてその言葉のすぐ後で自分の部屋へと向かって歩き出してしまって


「、ユンギさん」


クロックスも履かずに通路に出て呼び止めてしまった。

何故そうしたかは分からない。
でも、呼び止めなきゃいけない気がしたからだ。
会いたくないと思ってたのに。
会いたいと思っていたから。

部屋に入る直前のユンギが止まった。
それから私の方を向いて


「何?」


そう言われるとは思ってなかった。
こんなタイミングでそんな事言われても、私には返す言葉がないのに。

だから'何'と極々小さな声で呟いた私にユンギは気付かなくて


「お互い上手くいって(・・・・・・)良かったんじゃない」


'関係ないけど'
微かに笑ったユンギの一言が通路に響いて落ちて、ユンギが部屋に入ってドアが静かに閉まった。
低くて重い声。

そっか、上手くいったんだ。

ユンギは一つ誤解している。
"お互い"なんて言ったけど、私とドユンはそんなんじゃない。
だから上手くいったのはユンギだけ、だ。

私は上手くいくどころか。


「もしかして…相手いる?」


ドユンの遠慮がちな質問に小刻みに三、四回頷いて、ユンギの部屋のドアから自分のドアに向き直った。


「そ、元彼女とより戻ったみたい」


今日は初めての事ばかり口にする。
こうやって口に出す事で現実を一個一個受け止めて生きていかなきゃいけないんだ、なんてよく分からない事を思ったり。

ドユンが'そっか'と言ったのと同時に、ユンギの部屋の方を見た。
私がその視線を追う事は出来なかった。

ドユンが帰った後、窓を開けて漢江を眺めた。
陽がのびてまだ薄明るいせいでユンギの部屋の灯りがついているか否かは確認できなかった。

まるでもう確認なんかする必要ないって言われてるみたいだ。

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かむ(プロフ) - にゃんさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます🥹しかも新しいのまで!何回でも読み返して下さい!笑 (4月2日 15時) (レス) id: 5dfe42fd36 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ユンギさんのお話最高でした!!最高すぎるのでもう一度読み返しに行ってきます!!(今更新中のお話もとても楽しく読んでます!私の日々の楽しみです!) (4月2日 12時) (レス) id: b48cf01a74 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - u512さん» 私のペンになんて嬉し過ぎます🥲✨私もいつも終わらせたいような終わらせたくないような気持ちで書いてます!(笑)最後まで読んで頂きありがとうございます🥹 (4月1日 10時) (レス) id: fb7c0dcb39 (このIDを非表示/違反報告)
u512(プロフ) - やはり最高です‼️‼️かむさんペンになってしまいました‼️一生終わらないで欲しいと毎度思ってます‼️最強に拗らせられました‼️‼️これからも楽しみにしています🥹✨ (4月1日 9時) (レス) @page34 id: 37a21340a3 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» 見てきたかのようななんて嬉しいです🥹こちらこそ読み続けて頂いてありがとうございます! (3月31日 20時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月27日 23時

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