43 ページ43
ジミンの表情は見た事がない表情だった。
険しい表情なのに目だけが大きく揺れて、綺麗な唇から言葉が発せられる事はなくただ閉じたままで。
ジミンの手の力がゆっくり抜けて私も何も言わずにジミンの家を出た。
地下駐車場の車に乗り込んでエンジンをかける。
もう終わった全部。
これからは私がここに来る事はないけれど、ジミンの家に花が途切れる心配もない。
それから私はまた平穏な生活が送れる。
一人でピクニックに行ける。
音楽が聴きたくてボリュームをあげると丁度ラジオのパーソナリティが次のリクエスト曲を流すところだった。
「切ない歌詞が印象的なこちらの曲です、Done for me」
窓の外の景色には高級車が並んでいる。
所々空いていて出かけてる事が窺える。
一体どんな人がどんな高級車を乗って今日も出掛けているのだろう。
私の車は国産車だけど満足してる。
大きさも充分だし。
視界がぼやけ始める。
離れた所にある高級車の輪郭がボヤけて見えて、かろうじて赤だの黒だのって色を判別出来るくらい。
더는 다가갈 수 없어 네게
이런 마음이 너무 두려워
너의 기억 모두 가져가 줘
다 지워줘
Done for me
なんでこんな事になったのか。
いつから私はこうだったのか。
そんな事は今となってはもうどうしようもない事だ。
一つ、また一つと何処かに落ちる涙を拭う気もない。
「…なんで今更」
また一つ涙と一緒に零れ落ちた独り言。
ジミンの事を好きになってしまったなんて。
本当馬鹿みたいで、今更で、それに身分不相応。
でも、苦しいはずなのにそれを認めたら苛々は少しずつ消えていく気がした。
涙と一緒に私の付けたままのエプロンに染み込んで消えたのかもしれない。
終わった、全部。
모든 순간들을 잊어볼게 다 잊을게
(全ての瞬間を忘れてみるの、全部忘れるの)
너의 작은 흔적까지도
(あなたの小さな痕跡までも)
スウェットの袖で顔を雑に拭いてサイドブレーキを解除する。
385人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かむ | 作成日時:2024年3月1日 21時