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「ジミナ！」
その声と同時に手を振り解いた。
自分で離したというより何かに引き離されたような感じしたけど、きっと気のせい。
聞き覚えのある声と華やかな出立ちが軽やかに駆けて来てジミンから距離を置いた。
「やっと見つけた！」
名前、何だっけ。
眩しい白いワンピースの短いスカートが春風に揺れてる。
「あれ、ナリも来てたんだ」
そうだ、ナリさんだ。
ジミンの言葉で名前を思い出した。
袖の部分がシースルーのだから重くならないと思って選んだ黒いワンピースだったけれど、今更失敗だったかも。
脛あたりまでの長さのスカートもナリさんとはまるで正反対だ。
あーほら、やっぱり場違いじゃん。
「、じゃあ、私帰りますね」
「えっ、A…」
ジミンが名前以外何か言ってる様な気がしたけど今度は肩も手も掴まれなかったから、立ち止まる事はしなかった。
ナリさんからは薔薇の良い香りがした。
とても似合ってると思った。
早く帰ろう。
もう足も痛いし。
「Aさん？」
すれ違いざまに私を呼び止めた人。
「お久しぶりです、」
「、あ、ジョングクさん、どうも」
グレーの淡いジャケットにデニムというシンプルな姿なのに随分様になって見える。
流石ぐうの音も出ないイケメン、ジョングクが'どうも'と小さく会釈した。
「花屋さんの服装しか見た事なかったから、一瞬似てる人かと思っちゃいましたよ」
「あー…そうですよね、こんなの着たの私も久しぶりで、普段着ないから違和感すごくて」
この場所もそうだ。
違和感がすごい。
それから足が変に風通しがいいのも。
「えー、そんな事ないですよ？似合ってると思いますけど」
ジミンとは違う丸みを帯びた目が更に大きくなって驚いた様な顔をする。
「ジョングクさんにそう言って貰えるなら、着て良かったなって思うことにしますね」
その顔が幼い子供の様に見えて思わず小さく笑う。
するとジョングクがそのままの表情で'本当だ'と。
「ヒョンがAさんの笑った顔が可愛いって言ってたんですよ、それで」
"それで本当だと言った"って意味なんだろうけれど、恥ずかしがる暇も否定する余裕もなかった。
それよりジミンが私を引き止めてまだ言ったその言葉を今更思い出していたからだ。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年3月1日 21時
