私のダイヤモンドリリー (ページ32)

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ジミンの家への配達は一時見送りにしてもらった。
私が配達に出たら店にいる人間がいなくなるからだ。
他の配達もあるし店長にすぐに確認したいところだけれど、今はそれをすべきではない。

ジミンには直接断りを入れたし、他の配達の依頼には都度私が一時的にお断りをすれば済む事。
毎月奥様にブーケを送るお爺さんにも届けられないのは心苦しいが、仕方ない。

店長が入院して3日目。

「びっくりさせてごめんね、あとお店のことも…」

「店長が謝る事じゃないですよ、私の事は気にせずちゃんと安静に過ごして下さいよー」

店長から電話がかかってきて声を聞けてまた少しホッとした。
声色がいつもの店長だったからだ。

それから店の話をして、あと3日で退院出来るから、ということでその間だけ店を閉める事になった。
私が開けてもいいと言ったのだけれど、"お互い少し休もう"なんて素敵な言い方をされてしまっては断れなかった。

三日連休なんて久しぶりだから。

その電話が終わった後で少し癪ではあったが、ジミンにメッセージで連絡を入れた。
ここからの3日間は店を開けないから花は届けられないという旨だ。

ーーー♩

わざわざメッセージで送ったのに。
携帯から鳴り響くそれは着信音でげんなりする。

「…今メッセージ送ったんですけど」

もはや電話の常套句さえ言わずに第一声はそれにした。

「それは見たけど、別に言いたい事があって電話したの」

じゃあそれもメッセージで寄越せば済むのでは？
と思いつつ言わずに無言で"別の言いたい事"を待つ。

「明後日、ちょっと来て欲しい所があるんだけど、予定ある？」

「…来て欲しい所？別に予定はないですけ」

「あー良かった！じゃあ今から住所とか必要事項(・・・・)書いて送るから」

「えっ、いやそれ何の」

私が言い終わる前に電話が切れた。
そしてわなわなとしている私を知らないジミンからメッセージが二通立て続けに来た。

携帯に罪はないがベッドの布団の上に叩きつける様に投げたのは言うまでもない。