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女の人は小さなブーケを一つ。
と、白い薔薇の花を一本買った。
「これ、あげる」
そして白い薔薇の方をジミンに差し出した。
もうこれは確定だ。
私はというとそんな二人を他所目にブーケを作って出たゴミをゴミ箱に。
そして少しぎこちない挨拶を交わした後その人は先に店を後にして。
「あの人、ジミンさんの事好きなんですね」
白い薔薇を持ったままただ突っ立っているジミンに見立てを報告した。
「なんでそう思うの？」
「だって白い薔薇ですよ？知らないんですか？」
ハッとわざとらしく鼻で笑ったが、ジミンにはその嫌味が通用しなくて無駄足に終わる。
「白い薔薇の花言葉"私はあなたにふさわしい"ですよ、それに、白い薔薇はその色から"あなた色に染まる"っていう意味合いも」
だからまともに解説した。
それにしても赤い髪に白い薔薇なんて、コントラストが美しいの何の。
それに比べて私と来たら髪はただの黒だし、仕事中だとしてもスウェットにデニムにスニーカー姿で。
あんなワンピースなんかいつ着たかも記憶にない。
しかも花屋で働いてて花が好きなのに、あんな風に白薔薇を誰かに渡そうなんて考えた事もない。
芯から美人はやる事が違うようだ。
それからそんな事をする相手も。
'そうなんだ'と他人事の様なジミンは白い薔薇をクルクル回している。
「じゃあ、俺がAに白い薔薇送っても、そういう意味に受け取る？」
カウンターに肘を付いて凭れたジミンの言葉に'いいえ'と首を横に振る。
「ジミンさんはあの人みたいな目じゃないですから」
ジミンが'目？'と自分の目を指差す。
「好きな人に向ける目って分かりませんか？見方が違うんですよ、絶対的に。目が優しいっていうか、表情じゃなくて目が違」
少ない語彙力の中からそれなりに上手く合う言葉を探していたのに、ジミンの視線が気になって
「何ですか？説明が下手だなって言いたいんですか？」
「いや、別に、笑」
"別に"
って言うなら私にくっ付いたままの目線を外すなりすれば良いのに。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年3月1日 21時
