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ジミンは車に乗ってと言っていたけれど強めに"結構です！"と叫んでタクシーで店まで戻った。
あー本当に。
颯爽と現れた時は少しかっこいいなんて思ってしまった自分を戒めなければ。
ジョングクの事を考えよう。
そう、やっぱりほら。
ジョングクの方が絶対的にかっこいい、穏やかにそう思える。
「なんで乗らなかったんだよー」
店に戻ってから程なくしてジミンがまたやって来た。
丁度倒れたままだった椅子を起こしてる時に後ろでそう聞こえたから、敢えて聞こえないふりをした。
「、今花用意するんでここまで来たなら持って帰ってください」
「俺持って帰っても自分で出来ないよ」
「私がここで教えれば出来ますよね？」
「俺の車に乗って、俺の家に行って、そこで教えてくれた方が分かりやすいんだけど？」
またこのお互い一歩も引かないやり取りだ。
静かに一呼吸。
自分を鎮めるための呼吸だ。
「あの、店長いないんで私が店を開けないといけ」
「ジミナ？」
正当な口実で勝ちを確信したのだけれど、それを全て言い切る前に第三者の声に阻まれた。
当然、私もジミンもその声の方に向くしかない。
ストレートの赤い長い髪の女がジミンを見つめて立っている。
「ナリ？」
次に口を開いたのはその人の方を向いてるジミンだった。
お互い名前を知ってる。
"知り合いとこの店で再会"という状況なのは一目瞭然だ。
だが"知り合い"という雰囲気にしては何かが違う気がして私は口を開けず。
かと言って何もせず二人を傍観する気にもなれず、カウンターに目を落としてリボンの整理を始めた。
「久しぶり、たまたま花買いに来たらジミニがいてびっくり…、元気そうだね」
「おかげさまで、ナリも元気そうだし、その髪良い色だね」
「あ…ありがとう、気に入ってるから嬉しい」
一瞬だけ目を向けてしまったその人の表情はどう見ても"知り合い"のそれじゃなかった。
どこか気まずそうで照れ臭そうで。
ジミンに向ける目に熱が籠っているのが分かる。
綺麗な人だ、薔薇の様な。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年3月1日 21時
