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病院の二重の自動ドアを出ると薬品の匂いが一気に遠のく。
それと同時に少し前を歩くジミンの背中に


「ていうか…ジミンさん、なんで店に?」


立ち止まって聞くタイミングのなかったそれを投げかける。
振り向いたジミンは春の日差しに眩しそうに少し目を細めていて


「午後まで待てなかったから、かな?」


と、首を傾げて言った。
かな?って言われても。
午前中のうちにどうしても花が必要だったのだろうか。

そこでふと、前に一度だけ見た玄関の女物の靴があった事を思い出した。
ああ、それで。
私の中で線と線が繋がった。


「どうしても今日必要ですか?」


「、え?何が?」


「何って…花に決まってるじゃないですか、だから店にわざわざ来たんですよね?」


「え?えぇ?どういう事?笑」


それはこっちの台詞だ。
噛み合わない会話に頭を傾げたくなる。


「だからぁーーーさっき"午後まで待てなかった"って言いましたよね?早く花が欲しくて自分から店に来たのに、どういう事?ってむしろ私がどういう事?って感じなんですけど」


どかどかとジミンの前まで言って言い放つ。
確かに今日は日差しが眩しい。
でも風が気持ちがいい。

私を見下ろすジミンが'あぁ'と何か納得した様に頷いた。
まったく…やっと、だ。


「悪いけど、花が来るのを待てなかったんじゃないよ」


どういう事?
言わなかったけれどそんな顔になったはずだ。
じゃあ今さっき納得した様に頷いたのは?

疑問ばかりの私に対して、ジミンは'いやいや'とか言ってニヤけながら鼻の頭を手の甲で擦ったりして


「…Aが来るのを待ちきれなかったから、早く会いたくて、それで」


珍しく目を逸らして口元を緩ませながら言った。
目線は私ではなく病院の3階の窓辺り。

その直後'な'と不思議な声を出したのは私で。


「、何言ってるんですか?!馬鹿じゃないですか?!ジミンさんそういう所ですよ?!えぇ?!分かります?!あー本当、いい加減にして下さいよ!私はジミンさんのおもちゃじゃないんですからね!」


病院の駐車場に私のそれが谺した。

春、暖かくなると頭がおかしくなる人が出没し始める。
ジミンがそれだ。
そしてこんな戯言に反応してしまってる私もそれだ。

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設定タグ:BTS , ジミン , 防弾少年団   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月1日 21時

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