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ジミンから急に花の依頼を受けたから、何にしようかと店の花達を見て考えて
「ライラックとかいいんじゃない？」
私の悩む姿を見た店長のその助言を採用することにした。
そういえばジミンの香水の匂いもこれと同じ様な感じだった。
丁度程度の良いライラックが入荷したのもある。
「なんかジミンさんには勿体ない花のような気もしますけどね」
白いライラックの程度を見ると本当に質の良いライラックで思わず吐露した、本音だ。
椅子に座って休んでいる店長が'厳しいね'と笑っている。
ここ最近でまただいぶお腹が大きくなった店長は、腰に手を当てる頻度が増えた。
今もそうだ。
"いつ産まれてもおかしくない"
毎日そう感じる。
「今から先に花鉢いじらなきゃなんで、午後行ってきますね」
「分かった、その時はジミンさんによろしく伝え…」
店長の言葉が詰まった。
それだけじゃなくて大きいお腹を抑えて顔を歪めて。
「…ごめん、ちょっ…お腹が…」
苦しそうな声が途切れ途切れにそう言った後、椅子から大きな音を立てて店長が倒れ込んだ。
両手でお腹をぐっと掴んで、店長の顔も声も苦しそうで。
「店長！…今！病院に電話しますから！ちょっと待っ…」
どうしよう。
そう思いながらもポケットから携帯を取り出したのだけれど、自分の手が震えている。
声が出ない。
どうしよう。
違う、119に電話して、いや、先に旦那さんに電話、でも、店長を先にーーー
早くしなきゃと頭では分かっているのに行動が全く追いつかない。
その間にも店長からは呻き声が漏れている。
私がやらなきゃーーー
「A！」
名前を呼ばれるとは思ってなかった。
狭い店内に私と店長しかいなかったから。
なのに声の方に振り向けば慌てた表情のジミンがいたのだ。
颯爽と入って来て私を一瞥した後で
「俺が救急車呼ぶ、大丈夫だから」
そう言って既に手にしていた携帯で一瞬で電話をかけて、程なくしてあっという間にサイレンのけたたましい音が近づいて来た。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年3月1日 21時
