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結局ジミンは最後までいた。
まるで自分の物のように律儀に片付けまで進んで手伝って、すっかり纏まった荷物を手にする私と


「明日、仕事?」


やっとサングラス本来の使い方をしたジミンが言った。


「そうですよ、だから今日は貴重な休みで一人でピクニックを楽しもうと」


「え、じゃあ俺が偶然来て良かったじゃん、あんなに笑ってたし」


後半に事実を入れられて言葉を失う。
流石にあんなに声を出して笑っておいて即否定出来るほど、頭の回転は速くないのだ。

サングラスで覆われて目は見えないもののジミンの唇を見れば"でしょ?"と言われてる気しかしない。


「…そこだけは否定しませんけどね」


そう言えただけだいぶ譲歩したと思う。

ジミンがこれ以上あれこれ言う前にそれを捨て台詞にして、歩き出す。
夕方になって昼間より少し人が増えだして周りも賑やかだ。


「じゃあ明日、花届けに来てくれる?」


少し遅れて小走りで近づいて来たジミンが容易く私の隣に追いついて歩幅を合わせる。


「また急な…」


「忙しい?なら、俺が取りに行ってもいいんだけど」


「ジミンさんが来ると騒ぎになるかもしれないんで、それは遠慮します」


すれ違う人が何人かいたけれどジミンが"ジミン"だとは気付いてないみたいだ。
'じゃあ?'と言ったジミンが私の顔を覗き込む。


「行きますよ、午後になっちゃいますけど」


'やった'と小さい声で言って白い歯を見せて微笑んだジミン。
何がそんなに。
花のある生活がそんなに好きになったのか?


「じゃあ、私こっちなんで」


T字路の右方向を指差してジミンに軽く頭を下げる。
結局持って来た本は一回も目を通す事がなかったな、なんて考えながら。


「A」


折角背を向けて歩き出したのに。
私のその足をジミンは簡単に呼び止める。


더 웃어줘 예뻤으니까(ト ウソジョ イエッポッスニッカ)(もっと笑ってよ、可愛かったから)」


自身の両頬を人差し指で指してニーッと笑ったジミンがいた。

わざわざ呼び止めてまで言う事じゃない。
そう思ったから返事をせず再びジミンに背を向けて歩き出す。
笑うんじゃなかった、と後悔する私の顔が夕日のせいで熱い。

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設定タグ:BTS , ジミン , 防弾少年団   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月1日 21時

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