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信じられない。
わざわざ手の込んだ演技してまで名前を呼ばせようとするとか暇人かって。
暇だからここにいるんでしょうけど。
「ごめんって」
さっきからジミンがそう繰り返す。
多分もう5回は超えている。
そしてまたすぐに'ごめんってば'と。
私はというとそんなジミンに背を向けたままずっと一貫して目を瞑って口を噤んでいるのだ。
つまり激怒中である。
膝を抱えて座ったままどこを見てるかも分からない状態でただ悟りを開いた様に目を閉じ口を閉じ。
「ねぇもうしないから、いい加減なんか喋ってよ」
ジミンは諦めが悪い。
無視されてるのだからこのまま私の事を放置して帰ればいいのに。
誰が何を喋ると。
休日だというのに突然現れて一人ピクニックを二人ピクニックにしてしまったり、挙げ句の果てには腹痛を装って名前を呼ばせようとするとか。
言語道断。
ハウス!
何も知らない人が傍から見ればもしかしたら"彼女が怒っててそれを宥めようとする彼氏の図"に見えるかもしれない。
でももうそんな事どうでもいいくらいには怒っている。
ジミンが諦めが悪いなら私も相当諦めが悪い。
だからこうして聴覚だけの世界に自分を閉じ込めて数十分経過したところだ。
「A」
私の背中をジミンが何かの指で軽く突いた。
「ずっと何も言わないの?目瞑ったまま?」
今度は肩を突かれる。
「いいよじゃあ、そのまま目瞑ってなよ」
背後から聞こえてた声が少し違う場所で聞こえる。
もしや帰る気になった?
「
そりゃもう凄い勢いで開いた。
眩しいとか一切思わずに一気に開いた。
開けたすぐ目の前にジミンの顔があった。
何故か知らないけどジミンの一重の目も驚いた様に少し大きく開いて揺れていた。
その瞬間少し強めに風が吹いて葉が一層ざわざわと音を立てて揺れて、葉が一枚私のジミンな顔の間をすり抜けて落ちた。
「、ジミンさんの距離感って色々セクハラですからね」
肩を軽く押すとジミンはそのままよろめいて芝生に尻餅をついた。
笑えない冗談を仕掛けた本人が耳を赤くして驚いてるなんて、変な話だ。
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月1日 21時