私のダイヤモンドリリー (ページ21)

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ちょっとだけ名前を呼んでもいいかなと思った。

「で、どうだった？ジョングギと話せて嬉しかったでしょ？俺優しくな」

前言撤回で電話も切った。
その後すぐにマナーモードにして携帯には悪いけれどソファの隅の所に伏せて置く。

パクジミンの声色が面白がってる時のそれだったから聞く余地無しと判断したのだ。
私の身体と脳が。

それよりまだかろうじて温かいチキンとコーラ、それから一時停止したままの映画だ。

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翌日。
朝起きたら案の定快晴で、気温も春。
正に正にピクニック日和だ。

昨夜残ったチキンと途中でコーヒーを買って行く先は芝生でのんびり出来る公園だ。
それから本も一冊入れて。

これが土日なら人の量が変わってくる。
穏やかに過ごすというより人と楽しむピクニックになるのだろうが、今日は平日で人も疎らだ。
一人で優雅に過ごすには最適なシチュエーション。
敢えて友達を誘わない日があっても良い。

思った通りの場所に思った通りにピクニックシートを敷いてバラバラとあれこれ置いて寝そべる。

高さのある木の下。
木陰になって葉と葉の隙間から春の日差しが差し込んで丁度良い暖かさと涼しさ。
たまに心地良い風が木の葉を揺らしてそれに合わせて日差しも揺れる。

首に掛けていたままのヘッドホンを耳に当てて好きな音楽を流してそれを眺める。
贅沢な休日－－－

「偶然」

自然の景色ではなく人間に変わった。
思わず腹筋だけで起き上がれたしヘッドホンはまた首に戻す事になった。

「何してるんですか？！」

「Aだって何してるの、あ、ピクニックだ」

黒いサングラスを掛けたパクジミンは私の質問に答える気はないようで

「一人なのに随分大きいシート持って来たね」

そう訳の分からない感心をした後でスニーカーをサクサク脱いであっという間にシートの上に'わー'なんて言いながら子供みたいに寝そべった。

パクジミンの両足が少し芝生に飛び出している。
優雅な休日がサラサラと春の風に消えて行く。