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小さな声がざわざわと聞こえた次は何かガサガサと音がして。
「もしもし?」
ジョングクとは違う声がやって来る。
しかも"?"って何。
「A?今何してたの?ご飯食べてた?」
そこでやっと気付いた。
そして私のこの数分間のときめきの無駄な事。
正座を崩して胡座に戻す。
「、今忙しいんで切りますね」
「さっき全然大丈夫って言ってたじゃん」
「聞いてたんですか?!」
「勿論、俺の携帯だしこれ、最初だけジョングギに電話してもらっただけだもん」
あからさまに項垂れてる姿をパクジミンが見なくて良かった。
またやんや言われそうだから。
相手がパクジミンと分かれば私の番号を入手した出所が気になり出したが、思い当たる所は一ヶ所しかない。
とりあえずパクジミンには問い詰めないでおく。
携帯をテーブルの上に置いてスピーカーに。
それでもチキンに手を出さないのはジョングクが聞いてるかもしれない、と思うからだ。
「で、何ですか、わざわざ電話までしてきて」
コーラを一口だけ飲んだ。
パクジミンが'あ、そうだ'と。
「チューリップが全部綺麗に咲いたよって言おうと思って」
私の口から出た言葉は'え?'だった。
「何色か知らなかったでしょ?3本は赤で残り2本は紫だったんだけど、Aの言った通り咲くところ見れて良かったよ」
「…わざわざそれ言う為だけに電話してきたんですか?」
「うん、だってAが選んでちゃんと手入れまで教えてくれたからじゃん?まぁ、次でも良かったんだけど、丁度咲いたから今がいいかなって電話した」
何この人。
変に不意を突いてパクジミンは大体こう思わせる。
でも今回のは呆れたやつじゃなくて心のどこかに小さい花が咲くみたいな、そんな"何この人"だ。
チューリップがどうなったかって少し考えた事がパクジミンに伝わった?
いや、偶然に決まってるけど。
「…良かったですね、ちゃんと手入れしてくれて、ありがとうございます」
薄暗くなった携帯の画面に映る私の頬が綻んでいた。
パクジミンにこんな顔をさせられるなんて想像してなかった事だ。
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月1日 21時