私のダイヤモンドリリー (ページ18)

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その後どうしたかって言えば後生大事に持っていたであろうゴミ袋をパクジミンに押し付けて

「やっぱりこれ捨てといて下さい」

そう捨て台詞を吐いてパクジミンの家を飛び出した。

ゴミ袋を持って帰って来ようとしたのに、とやってしまった事を後悔したのは車を走らせてから数分後だった。
が、当然戻る事はせず店長の待つ花屋へ帰った。

何なのパクジミン。
最初から馴れ馴れしいとは思ったけど、にしてもあの距離感。

「ヤバい男ですよ、あれは」

隣でコーヒー片手に休憩する店長から'誰の話？'と返事が返って来た。

「パクジミンですよ、あの人アイドルなのに家に女連れ込んでたんですよ？」

「ジミンさんモテるみたいだから、女が放っておかないんだろうね」

「にしてもですよ！私にまで名前呼んでみなって、こうやってこーーんな近くで言ったりして」

"こーーんな近く"の時には実演付きで話した。
店長の目がまん丸になった。
ほらみろ、誰でもこうなるくらいの距離って事だ。

態勢を戻した後でやりかけの花鉢の手入れをしながら'ヤバいですよ'ともう一度言う。

「ていうかAさ、"ジミンさん"って呼んでないの？」

店長が私のエプロンの端をツンと引っ張った。

「、呼んでません、ていうか意地でも呼びません」

「えぇ？じゃあ何て呼んでるの？！」

「だから呼ばないんですよ、言っても"あなた"とか」

店長からまた'えぇぇ？'と返ってきてその声のボリュームの大きさに思わずまた手を止めてしまった。
そんなにおかしい事かなって。

私がパクジミンに特別他人行儀で素っ気ないのは店長も知ってるはず。
入りが悪かったから仕方がない。
嫌いでも好きでもないパクジミンは他人だ。

店長はコーヒーをまた一口飲むとアンニュイな溜息を一つ。

「花の手入れ、熱心に良くしてくれてるんだからさぁ、名前くらい呼んであげればいいのに」

そしてパクジミンの肩を持つ。
それとこれとは話が別なのに。
敢えて店長には返事をせずに花鉢を見ながら、蕾のチューリップはどうなったかと考えた。