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玄関に向かいたいのは山々だが誰かが確実に来てる今、私がノコノコ出て行って誤解を招くのは避けたい。
私がしがないただの花屋なのに。
私より先にいたあの薔薇の女が変な勘違いをしなくて済んでどれだけほっとしたか、だ。

かと言ってリビングの戻るのも違うような気がして今現在の状態に至る。
背中には壁。
目の前にも壁。

廊下の中途半端な位置にある等身大の置物のように。


「なんでまだそこにいるの」


戻って来たパクジミンが私のこの状態を笑ったが、私の目はそんなパクジミンより別な物に気を取られていた。
しかも目が合うや否や'안녕하세요(アニョハセヨ)'って挨拶まで。


「ヒョンの家の中までわざわざ花持って来て大変ですよね」


それからそんな世間話まで。
ただの花屋の私なんかに。


「…いえ、全然、あの…仕事なので」


まともに目が見れないし、やっと返した返事の声のボリュームといったらインターホンの音にもかき消されてしまいそうな。

だってまさかパクジミンと同じグループのジョングクが来るなんて、喋るなんて、思いもしない。
パクジミンの事を調べたら芋蔓式で出て来た画像を見て、この中で一番タイプかもと思った人が目の前にいるなんて。

途端に自分の服装やら髪型やら抱えてるゴミやらが気になって、とりあえず抱えていたゴミを後ろ手に持ち替えた。
日頃からちゃんと化粧しておくんだった、なんて事まで。


「俺はただヒョンに渡す物があって来ただけなんで行きますね、ヒョンがお世話になってるAさんに挨拶もできたので」


そう言ったジョングクから放たれた無邪気な笑顔が眩しくてきっと私は目を細めていたに違いない。
だから'気をつけて'などと気の利いた事を言えないまま、ジョングクは言葉通り颯爽と帰ってしまった。

画像も素敵だったが本物は想像以上だった。
久しぶりに心臓が暴れている。
台風一過のような。


「A」


白い壁にジョングクの笑顔を投影している私のそこにパクジミンが立つ。


「ちょっと態度の違いが露骨過ぎるんだけど」


ジョングクとは違うパクジミンの一重の目と目が合う。
心臓がスンと落ち着きを取り戻す。

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設定タグ:BTS , ジミン , 防弾少年団   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月1日 21時

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