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こないだ元彼に振られたあの日から何かちょっと訳の分からない方向に進んでいる。
私の意思とは関係なく。
"これから毎回顔を合わせるんですか？"なんて言いたいのを我慢したのは花を人質に取られたからだ。
花をちゃんと世話する、そんな言葉を聞いてしまっては。
花を人質なんて言ったらパクジミンは気分を害すだろうか。
いや、この人は多分けらけらと笑って"ひどい"とか言いそうだ。
「あの」
まさか自分からパクジミンに話しかける日が来るとは。
靴を履いた後で振り向く。
「もうこれからは勝手に入らないので、エントランスと玄関、開けてください」
重要事項だ。
毎回顔を合わせるという事は家主がここにいるという事だ。
なのに私が勝手に家に入るのはおかしい。
「え？いいよめんどくさいから、番号知ってるんだから勝手に入って来なよ」
なのにパクジミンときたらこれだ。
「、流石に無理です！じゃあ逆に人の家に入れって言われたら入れます？」
「だって別に俺がいいって言ってるんだし、もうAの事は知ってるんだから今更入って来たって何とも思わないよ、あー来たんだなーくらいで」
「いや質問の答えになってないんですけど…」
頭は全く痛くないが今にも痛くなりそうだ。
あっけらかんとするパクジミンはただ腕を組んでそこに立っていて、問題でも？みたいな顔。
問題ですと返したところでまた堂々巡りでしかなさそうで。
「考えときます」
作り笑顔を貼り付けて自ら会話を断つ。
これから毎回これか、という溜息はパクジミンには聞こえない様に背中を向けた後で。
「あーA」
ドアを開けて外に一歩出た瞬間、私の左手が軽くなる。
「これくらい捨てるよ」
パクジミンがゴミの入った袋を取り上げたのだと分かった直後には'またね'と言われて玄関のドアを閉められてしまった。
返してと言う間もなかった。
ドアが閉まる瞬間までパクジミンは機嫌の良さそうな笑顔のままだった。
失礼で強引なだけかと思ったが、少しは気が利くところもあるみたいだ。
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作者名：かむ
| 作成日時：2024年3月1日 21時
