87 ページ37
「ジョングガ…あの、さ…」
背中に添えた手でその背中を宥める様に軽く叩く。
するとジョングクの腕の力が弱まって愛しい息苦しさから解放されて、ジョングクと目線が絡まる。
'何？'と私の顔を覗き込むジョングクにまた少し躊躇して私の目が泳ぎ出す。
「その…私もジョングギの事好きになっちゃった、なぁ…って」
"私も"から"なっちゃった"まではかなりの速度で言った。
そこだけ駆け足のような。
正しく顔から火が出そうな状態でとてもじゃないがジョングクの様には言えなかった。
かと言って聞こえたか否かなんて確認する事はない。
というか出来ない。
だから何も言わないジョングクの表情を確認する為に恐る恐る目を向けてみる。
いや目よりも気になった部分がある。
「ジョングガ…耳が…」
思わず手を伸ばしかけてジョングクがそれを避けた。
「赤いんでしょ？分かってるよそれくらい」
拗ねた様にぶっきらぼうな口調で言うジョングクのその言葉通り耳が真っ赤なのだ。
私と同じかそれ以上に。
私ではないどこかを見なから眉間に深い皺を寄せてハァーーーーと長めに息を吐いたジョングク。
ついさっきの私みたいに少し目が泳いだ後でその瞳にまた私を映し出す。
「触ってもいい？」
そんな事聞かれると思ってもいなかった。
面食らってまたボンと顔が熱くなる。
言葉が出ずコクコクと2回頷いて見せたら、ジョングクの右手が私の左手の薬指と小指を握って。
左手は少し迷った動きを見せた後で、私の頬に。
何処かで猫の鳴き声がした。
それから宅配のバイクの音。
開けてある窓から春の風が入って来てジョングクの髪を揺らす。
もう二度と触ることもないと思った好きな手がここにある。
大きくて温かくて私をいつも導いて助けてくれた。
ジョングクが目の前にいる。
「A」
シルバーのピアスが光る唇が、柔らかい声が、私の名前を象り呼ぶ。
ジョングクの影が私に落ちて目の前が薄暗くなる。
スローモーションの様にゆっくりと。
ジョングクの睫毛が長くてそんなのも羨ましいなと思ったすぐ後には私ももう目を閉じていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かむ(プロフ) - あこさん» それは作中のジミン氏が泣いて喜ぶやつ言葉ですね🥹最後まで読んで下さってありがとうございました！ (2月29日 7時) (
レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 最後の最後でジョングクと付き合うのは予想してなかったです😖⤵ジミンとくっついて欲しかった🥺次はジミンが幸せになるお話をお願いしますm(_ _)m楽しみにしていますね(*^^*) (2月29日 5時) (レス) @page40 id: c61c62757d (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - Tearさん» レスが遅くなってすみませんㅜㅜこちらこそ最後まで読んで下さってありがとうございます！！ (2月27日 21時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
Tear(プロフ) - かむさん…最高です！本当に最高しか言えないです！素敵なお話ありがとうございます！ (2月24日 22時) (レス) @page40 id: f87fa27e4a (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - senra1003さん» いやいや恐れ多いですぅぅ…ㅜㅜでもそうやって言って頂けると本当に励みになります(；ω；) (2月23日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かむ
| 作成日時：2024年2月20日 19時
