72 ページ22
おかしいんだ。
本当に。
"ジミンの事好きだった"って勝手に口から出た。
"好き
過去形じゃなくて現在進行形で好きだと思うのに、なんでって。
足を動かす度にガサガサと擦れるビニールの音と私の足音だけが響くその空間で考えた。
そして気付いてしまって、踊り場で一瞬動けなくなった。
"ジョングク"という存在。
気付かないうちに私の中でジョングクがこれ程の存在になっていた事。
そういえばそうだ。
初見はただの人見知りだったのに、いつの間にかそこにいて私に温かくて大きな手をくれて、私の為に嘘まで吐いたり。
下手くそな嘘とか未使用か分からないタオルとか。
'俺がAを好きなんです'
'本当の事だから'
嘘か本当かはどうでもいい。
私にそう言ってくれた事実だけで。
ジミンと同じ事はもう繰り返したくない。
「そんなの、…同じ会社なのに無理に決まってるじゃん」
ジョングクの声が少し震えて聞こえた。
きっと思い違いだ、と言い聞かせる。
「そういう意味じゃなくて、仕事仲間として仕事で会うのは別だよ？そんなの当たり前じゃん」
'何言ってんの'と笑って見せる。
何も可笑しくないのに。
ジョングクの表情を読み取る事はしない。
肩に掛けていたバッグから携帯を取り出した。
「もうすぐ21時だよ？帰ってこれも洗濯しなきゃだし…あ、この服はクリーニングしてちゃんと返すから」
実際はあんまり時間なんて把握できてない。
でも今必要な行為だと思ったからそうしただけだ。
ジョングクに背を向けてジョングクに気付かれない様に細く息を吐いた。
「またキスでもした？」
ジョングクの言葉は小さかったけれどやたら静かなロビーではよく聞こえてしまった。
「それで"大丈夫"になった？」
振り向く前に唇を噛んで崩れ落ちそうな膝に力を込める。
「"そうだよ"そう言えば納得する？」
振り向いてジョングクの顔を見て言えた。
ごめんね。
私のせいでジョングクまで傷つけて。
自意識過剰とかじゃなく幾度となく何度も私を助けてくれた事に申し訳ないと思う。
だからせめて今日限りでこれ以上は私の事はなかった事にしてまた元通りに戻ってほしい。
こんな事がない平穏な毎日に。
ジョングクもジミンも先輩も。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かむ(プロフ) - あこさん» それは作中のジミン氏が泣いて喜ぶやつ言葉ですね🥹最後まで読んで下さってありがとうございました！ (2月29日 7時) (
レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - 最後の最後でジョングクと付き合うのは予想してなかったです😖⤵ジミンとくっついて欲しかった🥺次はジミンが幸せになるお話をお願いしますm(_ _)m楽しみにしていますね(*^^*) (2月29日 5時) (レス) @page40 id: c61c62757d (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - Tearさん» レスが遅くなってすみませんㅜㅜこちらこそ最後まで読んで下さってありがとうございます！！ (2月27日 21時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
Tear(プロフ) - かむさん…最高です！本当に最高しか言えないです！素敵なお話ありがとうございます！ (2月24日 22時) (レス) @page40 id: f87fa27e4a (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - senra1003さん» いやいや恐れ多いですぅぅ…ㅜㅜでもそうやって言って頂けると本当に励みになります(；ω；) (2月23日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かむ
| 作成日時：2024年2月20日 19時
