◆*32*◆ ページ32
.
どうしよう…どうしよう…
痛む頭で必死に記憶を辿ろうとしても
体中を波打つ爆音に
邪魔されて
上手く思考が回らない
.
勢いで立ち上がったら、また体がふらついて
咄嗟に手をついたソファーの背中がｽﾞﾙｯ…て滑ったのは
自分の汗のせいだと
今更になって気付いた
.
まだ熱は一向に冷める気配がない
ううん、多分だけど…
むしろさっきより上がってる気がする・・・
汗ばむおでこ
くらくら歪む視界
熱いカラダ…
.
・・・こんなことナナミちゃんに知られたら
絶対に怒られちゃう…
ナナミちゃんじゃなくても…
こんなに非常識なことしちゃダメって
小さい子どもでも、きっと分かる
.
.
…だけど・・・・
だけど・・・・・
.
机の上から剥ぎ取るようにして掴んだ鍵と
昨日のまま玄関に散らばってるパンプスに滑り込ませた足…
.
.
…熱のせいにしてしまえばいいと思ったの
熱で思考が可笑しくなってたせいで、こんなに非常識なことをしてしまったって…
そう言えば何もかもが許されると思っていたの
.
.
.
.
智「…!!…ｯ、…A？」
「……、…」
智「…え、…ちょ…どこ行くの？」
「…、なして…」
智「…え？」
「……さがさなきゃ…」
.
「…はやく、…見つけてあげなきゃ…」
.
.
「…」
智「…Aっ……!!」
.
大ちゃん先輩の腕をすり抜けて
私にある最大限の力を振り絞って走ったら
向かいから受ける風の中に
ふわっ…て
先輩のコーヒーの香りがした
.
先輩、ごめんなさい…
.
私には
熱が冷めるまでじっと待ってるなんて出来なかった
3年間あなたを想い続けた私の恋心。
そのすべてが詰まったあのネックレスを
なくしたままで一晩を過ごすなんて私には
到底、出来なかったの
熱が冷めるまで待って、もし取り返しのつかないことになったらどうするの？
もしこのまま見つけてあげられなかったら…
私の恋は、どうなるの？
.
何がなんでも見つけなきゃ…
痛くても苦しくても、絶対に探し出さなきゃ…
.
そうしないともう二度と
私の恋は戻ってこない気がした
.
ラッキー嵐ドラマ&映画
よいこの味方〜新米保育士物語〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 697人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
