◇*27*◇ ページ27
.
でもそれはほんの一瞬で
私を立ち上がらせるとすぐに離れていったあなたの温もり…
.
触れられたところが温度を変えて
明らかにさっきとは違う胸の音が
ﾄﾞｸﾝ…って響く
.
ゆらゆらと虚ろになる視界の中で
あなたとはっきり、目が合って
…あなたの名前を呼びたいのに
喉の奥がきゅぅ…って締め付けられて上手く声が出ない
聞こうって思ってたことも全部どこかに飛んでいっちゃったみたいに
頭が真っ白になった
ただ、
あなたが今こうやってここにいてくれてることが嬉しくて…
助けてくれた、ってことが
じわじわと胸に染みる
「……っ、カ…ｽﾞ……ぁ、」
1歩、近付こうとして伸ばした足がまたﾌﾗｧってなって…
和「……、…」
咄嗟に伸びてきたあなたの腕が
私の体を支えた
.
「……」
久しぶりに感じる、
あなたの腕の力
体温
全部全部、大好きだったの…
あの頃も…、
そして今も・・・
「・・・・カズ……」
触れたところから伝わればいい
ﾊﾟﾝﾊﾟﾝに膨らんだ、3年分の想い…
愛しさがいっぱいいっぱい詰まった、
私の恋心。
.
茶色く光る瞳の奥には
あなたの色に満たされていく、あの頃と同じ制服姿の私がいて
あぁ、伝わったんだ…
私の気持ち…
もう一度あなたに届いたんだ、って…
ぽーっとする頭の中で…
そんな風に思ったんだ・・・・
.
.
.
和「…お前、さ…」
「…」
和「………なに考えてんの？」
「…え？」
突き返すように離れた腕が、ぷらんと揺れる
和「…こんな場所で突っ立ってたらこういうことになるって想像つかねぇの？」
「…、それは……でも、私はカズに…」
和「お前がこーやって襲われかけたことでここのイメージダウンにも繋がる」
「……」
和「俺が抜けて今店にも、客にも迷惑かかってんの、分かる？」
「……めい、わく…？」
カズの言葉が、耳の入り口を行ったり来たりして
棘みたいに
私の胸を刺していく
…信じられなくて
.
「…カ…ズ……？」
和「……ここは、お前みたいなんが来る場所じゃない」
.
和「それが分かったらもう、二度とこの店には来んな」
ぴくりともしない冷たい表情はもう…
私が知ってるあなたじゃなかったんだ
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よいこの味方〜新米保育士物語〜
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