◇*17*◇Nanami ページ17
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あまりの勢いで刺したフォークは
ｻﾞｸｯと凄まじい音を立てながら
ﾊﾟﾘﾊﾟﾘのミルフィーユ生地を辺り一面に飛び散らした
「…!!ちょ…ナナミちゃん！」
その残骸を慌てておしぼりで集めて
"もー…もったいないなぁ 笑"って
笑う彼女は相変わらず透き通ってて凄く綺麗で
きっとハタからみたら
いつもと変わりない、幸せそうな女の子なんだろう
彼女の小さな爪に散りばめられたラインストーンがそこら中の光を集めて
ｷﾗｷﾗ輝いてるのが
なぜか
今日は切なく見えて
それは今の彼女の気持ちが決して明るいものではないからだと
彼女の話を聞いた今なら分かる
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そしてそれは全部
あの男のせいなんだと…。
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ナナミ「…ずっと待ってた？って…それ、一体どういう神経してたら言えるわけ？」
一方的に連絡途絶えさせといて
3年ぶりに会った彼女に言うのがその言葉？
待ってたに決まってるじゃない
何も分からないまま3年間も待たせ続けたくせに
まるで自分は彼女と再会することを望んでなかったみたいな口ぶり…
Aが…
一体どんな想いであの日店に向かったと思ってるの？
.
.
ナナミ「……やっぱり、二人を会わすべきじゃなかったのかしら…」
心の中で呟いたつもりが
向かいに座る大野さんや彼女にも充分聞こえるボリュームで外に漏れていたことに気付いて
ハッとして口を紡いだけど
ストローから口を離して
小さく瞬きをした彼女は
私を見て
ふるふると左右に首を振った
.
.
「…私は…会って良かったって思ってる…
確かに、言われたことには驚いたけど…カズにも何か理由があったのかもしれないし
それにちゃんと話してみないと分からないことってあると思うから…」
ナナミ「……A…」
"だから心配しないで"って言うようにふんわり微笑んで
笑顔のままショートケーキの苺を摘まんだ彼女の
伏せた睫毛の先にある想いなんて
私じゃとても支えてあげられないほど重く深いもの。
.
「…私、もう一度…会いに行ってくるね」
.
そしてきっと
彼女の全てを受け止められるのも
その権利があるのも
この世でたった一人…
…彼、だけなんだ
ラッキー嵐ドラマ&映画
よいこの味方〜新米保育士物語〜
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