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Servant ページ3

彼はぽつりぽつりと自分の生い立ちを弓兵に話した。
弓兵はまるで寝物語でも聞くかのようにソファーにもたれかかって聞いていた。
話し終わると、弓兵が君は、と口を開く。

「幼い頃から身内に畏怖され、魔力だけで今までの生活を補ってきた、と。やる事といえば今回のために魔力を温存することのみ………ん?待てよ、君最後に食べたのはいつだ。」

目を伏せて考え込んだあと、少年は

「三日前。」

と何気なく答えた。林檎は赤です、なんて当たり前の事を言うように。
弓兵は目を見開いて驚愕をあらわした。コロコロと表情の変わる弓兵だ。見ていて飽きない。

「まさか人間が、それも少女が三日間も食事を摂らないとは。いくら魔力を温存するためとはいえ……それでは健康に悪いだろうに…」

「三日間食べていないのは事実だが、一つ間違っている。俺は男だ。アーチャー。」

ほら、また目を開く。ヤツの癖なのかは知らないが自分の正体を知らせていく度に驚くことばかりなんだろう。

「まぁ、まずは食事だ。用意する間に風呂にでも入ってきたまえ。」

と言われて部屋から追い出されてしまった。なんて勝手な弓兵なんだ。

風呂場に入る。長時間付けていた枷を外す。脱衣をして入ると湯気が逆立った小さな毛に水蒸気として引っ付いた。
全てを綺麗に洗い、冷たい場所にずっと居たためか湯に浸けると痺れる身体をゆっくりと湯船へ投げた。
安堵からなのか、温かいものに触れているからか、ふぅ、なんて気の抜けた息が出る。
右手に現れている令呪を明かりに照らす。3画。2本の細い令呪が交わっている真ん中に剣のように貫いている1本。シンプルな令呪だ。
ついにマスターになったのか。面倒だ、と思うと同時に脱衣場へと脚を運んだ。

長い髪に染み込んだ水を絞り出して後方へ放る。
青白い肌、17歳とは思えない細さだが、筋肉は付いていると思う。多分。
いつも着るダボダボの白い服を着て、弓兵の待つ部屋へと向かった。

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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時

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