Sword ページ18
家に帰ると、手の中で輝く短剣に視線を落とした。これが、夢の証拠となるのなら__。
「マスター。」
「あぁ、なんだアーチャー。」
「残念だが、私はもう君とついていけない。」
「___は?」
声を発した瞬間、アーチャーの得物に首を捕えられた。息が細く出る。あと数センチ動けば、殺される。
「アー…チャー?」
「ふふ、お見事だ。アーチャー。」
手を叩きながら現れたのはバーサーカーのマスター、ソルナーデだった。
心底吐き気がしそうな面構えで笑みを浮かべながらこちらに近付いてくる。
「…どういう事だ。」
「そのままの通りだ。アーチャーは私達と同盟を組みたいと言ってきた。その為には、マスターが邪魔だと。それでここまで気を緩めてもらったのさ。」
「クソッ…アーチャー!」
「何、令呪を使って私に命令すれば良い話ではないのかね?それとも何だ。令呪はサーヴァントとマスターを繋ぐ絆、とでも思っているのか。」
「中々口達者なアーチャーだな。」
「おい、何故アイツと同盟を組みたがるのか教えろ。」
「簡単な事さ。彼は聖杯を手に入れれば私にもその恩恵を受ける資格を設ける、と言ったんだ。それに、君は少々ノロマ過ぎる。何かに勝負すれば負け、自虐し、次へと至る。全く、ご機嫌取りにも手が掛かる。」
「らしい。どうやらお前はマスター失格、とサーヴァントに見捨てられたようだ。諦めて令呪を渡し、聖杯戦争を放棄しろ。であれば命は見逃してやる。」
「聖杯戦争を放棄?ふざけるなよ。」
アーチャーに押さえつけられていた家の壁に手を当てる。
「この聖杯戦争のために何を準備してきたか今から教えてやる!」
魔術発動_____。
家の脚元に魔術刻印が現れた。本当に危ない時にしか使えない、魔術。
「アーチャー!取り抑えろ!」
アーチャーが首を狙ってくる。だが、家が意識を持ち、防ぐ。あっという間に家の中へ取り込まれた。
「ハーッ…ハーッ……」
この結界なら魔術師はおろか、サーヴァントさえ出入り出来ないだろう。
魔力を使い過ぎた。身体にクる。
そうか。アーチャーはそれ程叶えたい夢があったのか。_________そうか。
正直、謝りたかった。アーチャーに対して。分かってやれなくてごめんな、と。
バーサーカーのマスターに付くとは中々挑戦するじゃないか。
それに、魔力供給も向こうから絶たれた。これからは自分の身を守るだけで、精一杯だ。
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作者名:白咲 アオン | 作成日時:2017年12月11日 20時