変わらぬ愛を君に捧ぐ【 sh 】 (ページ7)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:128,463 hit

嫌な予感ページ7

．

ピロンと、鳴った携帯にはメッセージが2件。
平野くんからだ。起きたのかな。

平野くんごはんありがと
平野くんうまかった

Aこちらこそありがとう

そのあとに届いたメッセージが、また私の心を掻き乱す。

" 起きたらAちゃんいなくて寂しかった "

返す言葉が見つからなくてそのまま既読して携帯を閉じた。

次の日、会社に着くと何やら私を見てヒソヒソ話す人たちが目に入った。
向こうから同期の小野が飛んでくる。

小「おい！大変なことになってるぞ！」
　「……え？」
小「平野とお前、噂になってる」

嫌な予感って当たる。
……いつかはこうなると思ってた。

小「一昨日、お前らのこと見かけたやつらが広めてて」
　「……そうなんだ」
小「違うだろ？平野が一方的だろ？」

一方的……。そんな言葉で片付けないでほしいよ。あの日から私の頭の中は平野くんでいっぱいだというのに。噂なんてどうでもよくて……どうやって顔を合わせればいい？そんなことしか考えてなかった。

『あ』
「……おはよ」
『おはようございます』

社内では敬語。……私がそんなことを言ってしまったから、しっかり守ってる平野くん。いつも通りのはずなのに、どこか悲しそうな顔をして笑う平野くんは何を考えてるのだろう。

私たちを見て更に女たちが聞こえる声で言う。

" Aって結構男好きだよね "

" やることやってんだね "

もちろん平野くんの耳にも噂は届いてるわけで。

『なんもないのに噂とか怖いっすね』
「……うん、そうだね」
『……俺の一方通行だっつーの』
「……え？」
『いえ。じゃ、失礼します』

くしゃって笑って自分の課へ戻っていったその背中はやっぱり寂しそうだった。

．