変わらぬ愛を君に捧ぐ【 sh 】 (ページ6)

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同じマンションページ6

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呆然としながら平野くんを待つ。
ガチャっと開いた扉から姿が見えるといつも通りの平野くんに戻ってた。大きめのスウェットにバスタオル、いろいろと準備してくれたみたいでこちらに歩いてくる。

『大きいと思うけど、これ使って』
「あ、うん。ありがとう。シャワー借りるね」
『そこ左曲がったらすぐ』
「わかった」

洗面台に手をつけて深呼吸。
平野くんの匂いが充満してる。
ドキドキが止まらない。
もう完全に酔いは覚めていたけど、なんだろう、この空気感。
酔いが回る。

落ち着け。後輩だ。ただの職場の後輩。

シャワーを浴びたら気持ちがリセットされて平然を取り戻した。

「……平野くんありがとう」
『……あ、うん』

私を見てびっくりしてる。
……スッピンをこんなところで晒すことになるなんて……

『めっちゃ幼くなるんすね』
「え？」
『いや、スッピン。可愛いっす』
「……えっ！？」
『……あと、スウェットやばいね』
「……やばい？え？」

次から次へと普通の顔で言うから、調子狂うってば。
……本当に、平野くんって女の扱いに慣れてるよね。

寝室を案内されて、平野くんのベッドが目の前に。
『俺リビングにいるんでなんかあったら呼んでください』って、
こういうときだけなんで敬語になるのよ……
いつもの平野くんでいてよ。……やっぱり女の扱いに慣れてる。

翌朝。リビングに行くと、平野くんはソファで寝ていた。
8:14、勝手にキッチンをかりて朝ご飯を用意した。
せめてものお礼。
置き手紙を残して平野くん家を後にした。

……外に出てびっくり。見慣れた景色が目に入る……まさかとは思った。キッチンの使い勝手や、洗面所の構成、何から何まで家と一緒だった。同じマンションだったの？……階こそ違うけど。

……嘘でしょ。全く気付かなかった、今まで。

いてもたってもいられず急いで自分の部屋まで走る。
同じマンションだなんて、誰かに知られたら何て言われるか。
……いや、別に何も悪いことしてないじゃん、何焦ってんの私。
ていうか、平野くんはこのこと知ってるの？頭の中がごちゃごちゃになってきた。なんでこうなるの……だから関わりたくなかったんだよ……自分の生活がいとも簡単に変わり始めてる現実に頭が追いついていない。脳裏に浮かぶ平野くんの笑顔が浮かんでは消えてゆく。

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