変わらぬ愛を君に捧ぐ【 sh 】 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:128,462 hit

好きだからページ23

．

連れてこられたのは夜景が広がる丘。誰もいない。静かな街並みが映える。車から降りて伸びをしながら歩いて行く平野くんを追いかける。

『ここ、綺麗でしょ』
「うん」
『久しぶりに来たなー』

前の彼女と来たのかな。
少しばかりチラつく平野くんの元カノに心が痛んだ。

『わーめっちゃ綺麗！』
「平野くん落ちちゃうよ、階段」
『じゃ、手繋いで』
「……え？、ちょ、っ」

はしゃぐ平野くんに注意すれば今度は手を奪われた。
そういうつもりで言ったわけじゃないのに。
ちょっと、もう、手汗やばいよ。

暗がりだけど、夜景が照らしてくれるから表情が見える。
平野くんは至って普通だ。余裕そうな表情で私の心を掻き乱す。

「……平野くん、ねえ」
『今から言うことしっかり聞いといてくださいね』
「………はい、」

繋いだ手をそのまま、ネクタイが外され、着崩されたワイシャツが色っぽく見える。急に敬語になるから、私もつられて返事をする。

『もう分かってるだろうけど、俺Aちゃんのこと好きなんです』
「…………」
『ふざけてないですよ、俺』
「……うん」

今までも、何度か " 好き " という言葉を言われてきたけど、
そのどの言葉よりも、今言われた " 好き " が1番心に響いた。
だって、私だって。

好きだから。

．