24.事なかれ主義 ページ24
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Aside
お母さんは、黙ったまま俯いていた。
何も言い返せないんだね。
けれど私は言いたいことを言った。
義父に何も言えない母とは違う。
きっと一歩進めた。
「はじめまして、俺Aさんの部活仲間で川西って言います」
突然背後から現れた太一が
私の肩を優しく叩いた。
「Aは俺たちにとって必要な存在なんです」
それが…マネージャーとしてだということであっても。
あの太一が私の母に、そう言ってくれたことが
嬉しかった。
「お母さんにとってAが大事な存在なら…Aさんの高校生活を、俺たちに任せてもらえませんか」
私はそう言った太一の腕にしがみついた。
「私はここにいたいの。お母さんには心配かけない」
お母さんは、少し寂しそうな顔をしたけれど
とりあえず、納得してくれて今日は帰っていった。
「ありがとう…太一」
私、なんだかんだいつも太一に助けられている。
「いや…俺、単にお前にここにいて欲しいだけだったんだよ。お前のこと助けなきゃとか…そんな立派な風に思ったわけじゃなくて。だからお礼なんて言わなくてもいいんだよ」
そう思ってくれていることが。
私にとってどれだけ嬉しいことか、わかってる?
「確かにAは面倒な女だけど、俺が一緒に居たいって思うのはAなんだ」
一瞬、自分の耳を疑った。
「今…なんて?」
「それじゃダメかよ」
ダメじゃないよ。太一のことなら大体わかるの。
その言葉の意味も。
「じゃ、じゃあ太一のこと独り占めしていいの?」
「ああ、そういうのな。面倒くさいの」
「私の事は独り占めしていいよ」
「それは言われなくてもそうする」
すっごい勝手じゃないか。
でも今までもそうだったな。
太一は態度で示してくれた。
本当はもう、私のこと面倒くさがってないんでしょ?
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茜(プロフ) - 無色猫さん» コメントありがとうございます!それは確かにちょっとびっくりしますね。太一くんなかなか難しいです……書きこなせてると言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2018年7月28日 15時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
無色猫(プロフ) - 夢主の苗字が自分と同じでびっくりしてしまいましたw太一くん書くの難しそうですが、書きこなせてるのすごいですね...更新頑張ってください、応援しています!!! (2018年7月28日 15時) (レス) id: 44bca1b265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜 | 作成日時:2018年7月19日 23時