Episode8-4 決意 ページ34
アミちゃんは気まずそうに微妙な笑みを浮かべながら、言葉をつなげた。
「Aさんはすごい人です。だから、私が追い付かないといけない。
それまで、別行動です。それぞれ別のところで、魔物を倒していく。
その方が、より多くの魔物を倒せますし、強くなると思うんです」
確かに、アミちゃんの言う通り、別行動のほうがより多くの魔物を倒せる。
ただ、お互いの負担が大きくなる。
「……負担は大きいですが、おばあちゃんを倒すためには、頑張らないと。
AさんはAさんのペースでいいので、そんなに負担がかからないように戦闘回数を減らしてもいいんですよ」
「そう……だね。アミちゃんがそれを望んだなら、私はそれを応援する。
私も、アミちゃんに頼ってばっかじゃダメだもんね」
私の決意と同時に、授業開始のチャイムが鳴り、アミちゃんが『亜実ちゃん』になる。
「Aさん、授業始まりますよ」
「うん。ありがと」
「DNAとは、染色体の中にある、遺伝子情報の本体です。
デオキシリボ核酸の略称です」
理科の授業。遺伝の話。
いつもはつまらなくてしょうがないけれど、何か頭が冴えてるみたいで、すっと内容が入ってくる。
「デオキシリボ核酸の英語の読み方知ってる人いる?」
先生が豆知識的に教科書の欄外に書かれているところを指し、読めるか訊いてくる。
確証はないけれど、何か読めそうだったから手を挙げた。
手を挙げていたのは、アミちゃんと私の二人だけだった。
「Aさんが手を挙げるって珍しいですね……。Aさん、どうぞ」
先生が声に出して珍しがるって、今までどれだけ手を挙げてなかったんだ私。
「確証はないですけど……デオキシリボニュークリークアシッド、ですかね」
Deoxyribonucleic acid。合ってるかわからないけれど、亜実ちゃんがこっちを向いて、驚きの表情を見せながらうなずいてるから、合っているのだろう。
「A、すごいじゃん……」
「Aちゃん、かっこいい……」
周りから私の名前が上がる。恥ずかしいな。
恥ずかしいけれど、嫌じゃない。
「いや〜それほどでも……」
適当に謙遜しておいて、その場を落ち着かせる。
どうして、今頭が冴えてるんだろう。
きっと、決意したからかな。アミちゃんと別行動するという、大きな決意。
だから、吹っ切れてすっきりしたのかも。
あの後も、授業中の問いに答え、3問正解した私。
やっぱり冴えてる。授業が楽しいと思えてきた。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます!地道に、頑張っていきますね! (2016年8月24日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで! (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……? (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年1月25日 1時